顧客満足度(CS)に関する調査・コンサルティングを行うJ.D.パワー アジア・パシフィックはこのほど、2009年の日本における法人向け携帯電話・PHSサービスに関する顧客満足度調査の結果を発表した。これによると、総合満足度ランキングで、NTTドコモが第1位となった。
調査は、全国の従業員規模100人以上の企業の電話サービスの管理・意思決定関与者を対象に、主に利用している法人契約の携帯電話・PHSの利用実態や顧客満足度を調べた。評価の対象事業者は、NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクモバイル、ウィルコムで、2009年6月に郵送で調査を実施。1社につき最大2携帯電話・PHS事業者の評価を取得し、2,632社から3,309件の回答を得た。データ通信カードは調査対象外とした。
顧客満足度の測定にあたっては、「コスト」「営業窓口の対応」「サービス品質」「サービス内容」の4つのファクターを設定し(※)、各ファクターにおける複数の詳細項目に対する顧客の評価を基に、総合的な満足度スコア(1,000点満点)を算出した。
※ 各ファクターの総合満足度に対する影響度を高い順にみると、「コスト」(41%)、「営業窓口の対応」(24%)、「サービス品質」(23%)、「サービス内容」(13%)となった
その結果、法人向け携帯電話・PHSサービスの総合満足度ランキングでは、NTTドコモが「営業窓口の対応」「サービス品質」「サービス内容」で他社を上回る評価を得て、610ポイントで第1位となった。第2位はau(589ポイント)で、「営業窓口の対応」「サービス品質」「サービス内容」で2番目に高い評価を得た。第3位はソフトバンクモバイル(559ポイント)で、「コスト」ファクターで最も高い評価を得た。
評価の対象事業者の総合満足度と各ファクターについてみると、「コスト」に対する満足度は「4社間で大きな差はなかった」(J.D.パワー アジア・パシフィック)。一方、「担当者の知識」「応対・態度」「コンタクト頻度」「障害・トラブル時のサポート/フォロー」などの「営業窓口の対応」や、「サービス提供エリアの広さ」「電話機本体の故障の少なさ」などの「サービス品質」に関する評価で差が大きく出たという。
また、携帯電話・PHS事業者の選定理由について尋ねたところ、「国内でのサービス対応エリアの広さ」(29%)、「障害・トラブルが少なく、信頼性・安定性が高い」(22%)といった「サービス品質」に関わる項目や、「全体的な通信コストが抑えられる」(27%)、「携帯電話・PHS間での社員間通話を抑えられる」(24%)といった「コスト」に関わる項目を重視して選定していることが分かった。
J.D.パワー アジア・パシフィックでは、以上の調査結果を踏まえ、「法人向け携帯電話・PHSサービスにおいて、高い顧客満足を獲得するには2つの方向性がある」と分析。「一つは、総合満足度に対する影響度がもっとも大きく、かつ、現状4社間で大差のない『コスト』を強化し、他社を凌駕するほどに顧客期待を充足することで高い満足を得ること」と説明している。
さらに、「もう一つは、現状4社間での評価差が大きく、かつ、総合満足度への影響度でそれぞれ2割強を占める『営業窓口の対応』『サービス品質』を強化し、頭一つ、二つと他社より抜きん出ることである」と結論付けている。