前編、後編の2回に分けて紹介している、音声通話もデータ通信定額も利用できるTaiwan MobileのプリペイドSIMカード。前編では、SIMカードの購入方法をお伝えした。後編は、日本の携帯電話でこのSIMカードを使う方法を紹介しよう。

日本の携帯電話で台湾のプリペイドSIMカードを使う

さて、日本の携帯電話で海外のプリペイドSIMカードを使うには、SIMロックの無い携帯電話が必要だ。日本で一般的に販売されている携帯電話はSIMロックがあるため使えない。最近は日本の携帯電話も海外で利用できるようになっているが、それはあくまでも日本の通信事業者の回線を利用した「国際ローミング」である。たとえばドコモの携帯を台湾に持っていっても使えるが、台湾のプリペイドSIMカードを携帯に入れ替えることはできない。日本の電話番号のまま、海外で利用するのが国際ローミングサービスだ。

ところが日本で販売されている携帯電話でも一部の端末にはSIMロックが無い。今回はその中のひとつであるイーモバイルの「H11LC」を利用した。H11LCはPCと接続してのモデム利用に加えて音声通話にも対応した携帯電話だ。

なおイーモバイルは海外SIMカードでの動作は一切保証していないので、利用は自己責任でお願いしたい。とはいえH11LCは海外メーカー製の端末であり、海外では同系機も販売されている。そのためPCにインストールされる接続アプリケーションも海外のプリペイドSIMカードの設定ができるものになっている。

H11LCにプリペイドSIMカードをセットする

電源投入後、パシフィックセルラーの表示が出る

カウンターでプリペイドSIMカード購入したら、スタッフにH11LCを渡そう。そうすれば、慣れた手つきで最初に入っているイーモバイルのSIMカードを抜き、Taiwan MobileのSIMカードに入れ替えてくれるはずだ。なおH11LCは電池カバーがあけにくいので、あらかじめはずしておいたほうがよい。電源投入後は無事画面に「パシフィックセルラー」の表示がでる。これはTawian Mobileの以前の名称だ。

最初にデータ通信定額を申請する

データ通信定額を利用するには、専用番号にダイヤルして音声指示に従い番号を押していけばよい。操作に自信が無い場合はデータ定額利用もスタッフにお願いするといいだろう。「3日定額が使いたい」といえば、スタッフのほうで電話登録を行ってくれる。自分で行う場合は、以下のステップ踏む必要がある。

(1) H11LCから535に電話をかける
(2) 中国語、英語でアナウンスがあるので2を押して英語にする
(3) GPRS(データ通信)申請をするので1を押す
(4) プランがアナウンスされるので希望の数字を押す
1を押すと1日定額(100台湾ドル)
2を押すと3日定額(250台湾ドル)
3を押すと5日定額(350台湾ドル)
(4) 次のアナウンスがあるので確認の1を押す
(5) 20分で登録完了しSMSが送られるとアナウンスされる

「1日」とは登録完了されてから24時間のことになる。夕方台湾に到着し、翌日の昼に台湾を出発する場合なら、1日申請すればよいわけだ。なお登録完了のSMSが届かない場合があるが、実際は30分程度で登録されるようだ。SMSが届かない場合はH11LCをPCに接続してデータ通信を行ってみて、一度、残高照会(H11LCから*867#に電話をかける)すればよい。残高が減っていなければ定額利用可能になっていることがわかる。

接続アプリの設定後、データ通信が可能

プリペイドSIMカードの定額申請が終わったら、次はPC側のアプリケーションの設定が必要だ。

H11LCユーティリティーを起動し(左)接続先プロファイルを開く(右)。追加を押し新規プロファイルを追加する

Taiwan Mobile用の接続情報を入力。最後にこのプロファイルを有効化する

H11LCをPCに接続後、「EMOBILE H11LC ユーティリティ for Windows 」を起動する。ユーザー設定をクリックし、接続先プロファイルを開き「追加」を選択。その後、「新しいプロファイル」を選び「次へ」を選択。次の画面に、必要情報を入力しよう。必要情報の入力は下記の表を参考にすればよい。

プロファイル名 任意(TaiwanMobileなど)
接続番号 *99#
ユーザ名 空白のまま
パスワード 空白のまま
APN internet
認証のタイプ Noneのまま

入力後に「終了」を押すと、画面にTaiwanMobileのプロファイルが追加されているはずだ。これを選択し「有効」を押してから「OK」を押してメイン画面にもどる。あとはメインメニューの右下にPacific(パシフィックセルラーの意味)表示とアンテナマークがたっていれば、接続ボタンを押してインターネットへのアクセスが可能になる。

実際に利用してみたところ、接続速度は下りが1~2Mpbs、上りが300~700Kbps程度であった。通常の利用には十分問題ないレベルといえるだろう。ホテルにインターネット環境が無い場合や、時間課金など有料の場合はこのプリペイドSIMカードを利用するとよいだろう。

PCから定額インターネットが可能。もちろんH11LCから日本や台湾へ音声通話もできる

今回紹介したTaiwan MobileのプリペイドSIMカードのように、旅行者も購入可能でデータ通信も利用できるプリペイドSIMカードを販売している国は多い。海外渡航の多い人はH11LCのようなSIMロックフリー端末を1つ持っていると便利だ。