女性に人気のアロマテラピーだが、最近は新型インフルエンザ対策としても注目を集めているという。アロマディフューザー・オイルの販売などを手がけるアットアロマが開くセミナーで、アロマ空間デザイナー深津恵さんの話を聞いてきた。
医学界も注目、アロマの抗ウィルス作用
その香りの空間に身を置くだけで癒されるアロマだが、昔からその抗菌効果は注目されていたようだ。深津さんによると、17世紀にペストが大流行した南フランスでは「ペスト患者の死体から金品を繰り返し盗んでいた泥棒が、ハーブを酢に漬けこんだハーブビネガーを全身に塗っていたためにペストにうつらなかった香料を扱う商人が伝染病にかからなかったというエピソード」が残っているという。
最近は医学界でもその抗ウィルス作用に関する研究が進んでおり、3月に発表された富山大学医学部看護学科の中平比沙子 氏らの研究論文「植物精油の直接接触および芳香暴露の抗インフルエンザウイルス作用に関する研究」では、ティートリー、ラベンサラ、ユーカリ・ラディアタの精油には、ウイルス感染細胞に直接添加させることで対象ウイルス量を減少させる抗ウイルス性があること。また、インフルエンザウイルスを感染させる前にユーカリ・ラディアタの香りを予防として吸入していたマウスが、香りをまったく吸入しなかったマウスや感染後に香りを吸入したマウスより生存率が高かったという実験結果も明らかにされており、深津さんは「アロマは感染前に予防として取り入れることがポイントでは」と話している。 (注 : 上記の実験はいずれも新型インフルエンザウイルスを使った実験ではない)。
手洗い洗剤に入れるのもおすすめ
とはいっても初心者の場合、アロマはインフルエンザ対策にどう取り入れたらいいのだろう? 深津さんは次の4つを紹介してくれた。
- マスクのなかに精油を数滴たらしたティッシュペーパーを入れる。
- ティッシュペーパーに数滴たらしてその香りを楽しむ。
- アロマ対応型加湿器を使う。
- 無香料でできれば自然の素材だけでできた手洗い洗剤に精油を1~2%の分量入れて使用する(子どもが使用する場合は0.5%ぐらいでもOK)。
また、職場やリビングなど人が集まる空間ではディフューザーなどの芳香器で拡散させれば吸入できるだけでなく、空気中への抗ウィルス作用も加わっていいとする。「自分が簡単だと思うものを試してみてはいかがでしょう。インフルエンザ対策と考えず、香りを楽しもうという気持ちでどうぞ」(深津さん)。
おすすめはユーカリ・ラディアタやティートリー
早速アロマを始めようと思っても、悩むのがエッセンシャルオイル選び。ショップには聞きなれないカタカナ名が付いた瓶ばかりがずらりと並んでいる。そこで、深津さんはインフルエンザ流行時におすすめのオイルとして次の6種類を紹介してくれた。
- ユーカリ・グロブルス(清潔感が高く、スーッと染み透るようなクールでシャープな香り)
- ユーカリ・ラディアタ(ユーカリ・グロブルスと似ているが少しやわらかさのある香り)
- レモン(はじけるようにさわやかでフレッシュなシトラスの香り)
- ティートリー(清潔感のあるグリーン調のしっかりした香り)
- ラベンダー(穏やかで心地よいハーブの花の香り)
- ヒノキ(落ち着いた印象の気品高くなじみのある木の香り)
「例えば、通勤電車の中でユーカリのオイルをハンカチに1滴たらして口に当ててみて下さい。息がすっと通って気持ちがいいですよ」と深津さん。初心者が自分でブレンドするなら、ユーカリ2種類(ユーカリ・グロブルス / ユーカリ・ラディアタ)のどちらかにもう1種類好みのオイルをプラスしてみて。追加するオイルは「人ごみのなかでもリラックスできる香り」など自分なりのイメージを持つと決めやすいそうだ。
アットアロマでは新型インフルエンザを意識し、今年6月に抗ウィルス作用が高いとされるユーカリを中心にブレンドしたエッセンシャルオイル「CLEAN air(クリーンエアー)」を4種類(ミント、シトラス、ラベンダー、フォレスト)を発売開始。アロマ初心者や男性にはこういったオイルから始めてみるのもいいかもしれない。