プライベートブランド(=PB)が誕生して、はや数年。スタート当初は、低価格を売りにして、地味に展開していましたが、昨年来、原油価格の高騰に伴い生活必需品を襲った物価高、金融不況に端を発した収入減や雇用不安が契機となり、家計が苦しくなってくるのと機を一にするように、PBが注目を集めるようになってきました。

PBについては、今さら改めて説明する必要もありませんが、スーパーやコンビ二が独自に企画・開発を手がけたオリジナル商品のこと。製造、流通、宣伝などにかかるコストを抑えられるメリットを価格に反映させ、低価格で消費者に提供しています。 PBの利点は何と言っても、安定した低価格にあります。一般的にはメーカー商品の2~3割安の価格帯。メーカー品が、同系列のスーパーでも地域によって価格が違ったり、同じ店舗でも特売日とそれ以外の日とで価格に変動があるのに対して、PBは、同じ商品ならいつでも、どこでも安値安定で購入することができます。このメリットを生かして、たとえば調味料などのストックが切れた場合に、いつも使っているメーカー品の特売日までの"つなぎ"として、PBを購入するというのも、賢い活用法です。

製造者も内容量も同じ商品が数十円単位で安く買える

さて、ここで注目したいのが、"安さ"を売りにしていたPBが、市場の成熟に伴い、ここのところメキメキと商品価値を上げてきている点です。注目点その1が"味=おいしさ"。PBは「安かろう、まずかろう」とか「本当はメーカー商品を買いたのに、値段のことを考えて、PBで我慢している」という認識は、今や、かなりの時代遅れ。PBのおいしさは、メーカー商品と優劣つけがたいレベルに達しています。それもそのはず、商品の裏側に表記されている「製造者」をチェックすると、大手メーカー名が記載されている例が少なくありません。

たとえば、イトーヨーカドーをはじめとするセブン&アイホールディングス系列店が展開している「セブンプレミアム」の「生ハムロース」の製造者は、老舗のハムメーカーの滝沢ハム。滝沢ハムのオリジナル商品が、110g=358円なのに対して、セブンプレミアムは同量で298円。60円も安く買えるというわけです。強いて違いを挙げるとすれば、滝沢ハムのオリジナル商品が豚もも肉を使用しているのに対して、セブンプレミアムの「生ハム」は豚ロース肉を使用している点。もも肉とロース肉と、どちらが高級肉かと問われても"?"というのが、一般消費者のホンネではないでしょうか? ならば、安い方がいいに決まっています。

自社ブランドだから安全性にはとことんこだわる

注目点その2が、品質と安全性。たとえば、イオングループの「トップバリュ」では、添加物の使用を削減したり、環境負荷の少ない原材料・包材を使用するなど、品質と安全性の向上に力を入れています。また、表示にもこだわり、厚生労働省が指定している「食物アレルギー対象物質25品目」を含む原材料については、「原材料名」を記載する際、たとえば 粉末しょうゆ(大豆・小麦を含む) なたね油(大豆を含む) など( )つきでわかりやすく表記しています。

注目点その3が、商品バリエーションの豊富さ。調味料、乳製品、飲料、レトルト食品、冷凍食品、加工食品、菓子、酒類などなど、食生活の必需品を網羅しているといっても過言ではありません。しかも、"安さ"というPBの原点をしっかり押さえているので、"おうちごはんで節約派"としては、買わない手はありません。たとえば、これからの季節、献立に欠かせない鍋物のタレが、メーカー商品が298円で売られている横で、258円のプライベートブランドが陳列されていれば、消費者の手がそちらに伸びるのは道理というもの。

しかも、種類の豊富さも、消費者の心をくすぐります。PBの売れ行きの良さを写した下の写真が、それを証左しています。 このように、進化したPBを高く評価する声も多く、たとえば 「はじめのころは、当たり外れがあったけど、今はおいしくて、品質もよくなっている」

写真左 PB商品 写真右 通常の商品

「企業努力していることが実感できるおいしさと価格に満足している」 「簡易包装でコストを抑えている商品もあり、エコにも貢献していると思う」など。

最後に、PBをよりお得に購入するためのポイントをあげます。

プライベートブランドのお得な買い方

  1. PBは安値安定とはいっても、特売のメーカー品の方が安いときもあるので、値段のチェックを忘れずに。
  2. 製造者名が大手メーカーなら、味の点で大きな失敗なし
  3. PBは、価格を抑えるために量を少なめにしているものもあるので、1g当たりの単価を計算する
  4. 調味料や食パンなど商品自体にそれほどこだわりがないものはPB向き、一方、ドレッシングや味噌など種類が豊富なものや味にこだわりたいものはメーカー品向き。
  5. 安値安定がメリットのPBだが、特売がないので、それ以下の値段になることがないのがネック。そこで、たとえばイオングループが実施している"お客様感謝デー"(毎月20日、30日は全商品5%オフ)のように、全店あげての特売日やポイント倍増デーなどに買うのがオススメ。
  6. 次回は、おいしくてお得なオススメのPBを紹介します。

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