デジタルカメラで撮影していると気になることがある。カメラ好きの人がいるとその人ばかりが撮影して、当然のように撮影者は写真に残らない、という問題。また、いつでもカメラを構えて写真を撮っているわけではないので、写真を撮り損ねることもある。

そういうときに便利なアイテムが、ソニーから登場した「Party-shot」だ。新しい試みとして要注目だ。

DSC-WX1の記事はこちら
DSC-TX1の記事はこちら

Party-shotは、「インテリジェントパンチルター IPT-DS1」という正式名が与えられているが、Party-shotという愛称は分かりやすい。要は、カメラが無人で画像を撮影するロボットのようなものだと考えればいい。

半円型のコンパクトなボディ。本体自体はプラスチック製で軽いが、電池を2つ入れるとそれなりに重量感がある。形状的に安定感は抜群だ

使い方は、半円形の土台にカメラを接続し、Party-shotとカメラの電源を入れるだけ。そうすると、Party-shotは自動的にチルトやパン、回転を行い、カメラの顔検出機能「顔キメ」を使って付近の顔を探す。被写体の顔を見つけるとズームを行うなどして構図を整える。顔が右を向いていると右側を広く開けるといったように、単純な日の丸構図にならないように構図アルゴリズム技術を新開発して工夫されているそうで、さらに1人だけでなく最大8人までの複数の顔も検出し、画面に納めるように動作する。

カメラを設置したところ。現時点で対応するカメラはDSC-WX1DSC-TX1の2モデル

構図が決まったら、笑顔検出の「スマイルシャッター」も併用して自動で撮影が行われる。顔キメ自体には自動撮影機能はないが、Party-shotでは笑顔でなくても自動撮影してくれるのもポイントだ。逆に顔を見つけて構図合わせを行っているのに、結局撮影せずにそのまま素通りすることもあった。

以前、ソニーのエンターテインメントロボット「AIBO」でも、顔を見つけて撮影する機能があったが、それと似ている。ロボットのような形はしていないが、その動きはまるでロボットだ。

Party-shotの動作を変更するには本体のMENUボタンを押す。カメラ側に設定画面が表示され、回転角度、撮影頻度の設定が可能。回転角度は、Party-shotが回転する角度の設定で、360度から180度、90度の3種類が選択できる。Party-shotを置く位置や人が存在する位置に応じて変更するといい。撮影頻度は高・標準・低の3段階。どの頻度を選択するかは、それぞれの場面に合わせればいい。

背面にあるMENUボタンを押すことでカメラの動作が止まり、設定が変更できるようになる

これは回転角度の設定。テーブルを囲むように人がいる場合は無制限、すみに設置したら180度、90度と選べばいい

撮影頻度の設定は3段階。標準でも結構な枚数が撮影される

カメラの設定も変更可能。AFイルミネーター、フラッシュ、シャッター音あたりはオフでもいい

あとはカメラ側の設定も変更できる。たとえば「AFイルミネーター」は、低照度環境でのAFに効果があるが、撮影されていることがわかって表情が固くなりそうならオフにするといい。シャッター音は通常はオフのほうがいいだろう。

ただし、ISO感度や露出、ホワイトバランスなどの撮影設定は変更できない。カメラは「おまかせオート撮影モード」で動作し、ほかのモードでの撮影はできない。別モードに変えていても、Party-shotに接続した状態だとそのモードは使われないようだ。

おまかせオート撮影モードでフラッシュをオート発光にしていた場合、フラッシュはそのまま使われる。その場の雰囲気を残したい場合はフラッシュオフにしておくといいだろう。ただし、あまり暗い場所でフラッシュオフにしていた場合、ISO3200まで増感してもシャッタースピードが遅くなって被写体ブレが起きる場合もある。

電源は単3形乾電池×2で、アルカリ乾電池を使った場合で約11時間の連続動作が可能。このぐらいだと、カメラの方が先に電源が切れてしまいそうだ。オプションでACアダプターも用意されており、これを使えば電源の心配もない。

後部にはACアダプター(別売)が接続できるほか、TVに接続してリアルタイムに画面を表示しながら撮影できる

数時間も撮影していると、かなりの枚数を撮影するので、メモリカードも大容量のものを使うか、定期的に交換するといい。

実際の利用時にはParty-shot自体の動作音はあるものの、それほど大きな音でもないし、しばらくすると気づかなくなる程度。最初はカメラが自動で動き出すので注目を集めるが、たいていはそのうちにその存在を忘れてしまう。

動画

Party-shotの動作。さすがにぬいぐるみは顔と検出されなかったが、このように上から下までを走査して顔を探す。MENUボタンを押すと見やすいようにカメラを下向きにするところなどがロボットっぽい

そのため、気づいたらカメラが撮影しているという状況で、周りの人の自然な表情を納められるようになる。ポーズをつけた写真もいいが、その瞬間の普段の表情を撮影できるというのがメリットだ。

Party-shotはコンパクトなボディなので、テーブルの上に置くと、座った人をやや見上げる形になる。また、1個所に置き続けると、似たような構図の写真になりがちだ。そういう場合はParty-shotの底面に三脚穴があるのでテーブル三脚を用意したり、定期的に場所を移動させたりという工夫をすれば、さまざまな状態の写真が撮れて楽しい。カメラ接続部が伸張して高さを変えられるともっと手軽だが、三脚を使うことで代用できる。

そのほかにもDSC-TX1やWX1に搭載された「人物ブレ軽減モード」や「手持ち夜景モード」が使えると面白かったと思う。動画撮影に対応してもいいし、DSC-TX1/WX1の特徴である「スイングパノラマ」の撮影機能があってもよかった。

カメラをセットしてそのまま置いておくだけで、あとは次々写真を撮ってくれるのは面白いし便利。対応カメラは現時点で「サイバーショット」のうち「DSC-TX1」「DSC-WX1」の2モデルだけだが、今後も対応製品の登場と、進化したParty-shotの継続を期待したい。