9月11日、米Intelのセールス&マーケティング本部 副社長 兼 インテル・リセラー・チャネル統括部 部長のスティーブ・ダルマン氏が来日し、今週発表されたLynnfieldコアのCore i5/i7を中心とする新たな"Core"ブランド製品の普及について、その現状や展望を説明する会見が開かれた。
まずはじめに、同社の製品がエンドユーザーに届く際に、おおきく、ダイレクトOEMと、チャネルのルートが存在することが紹介された。同社のマーケティングにおいては、ダイレクトOEMと言った場合は、HPやDELL、Lenovo、ソニーといったナショナルOEMメーカーのPC本体にIntel製品が搭載され、エンドユーザーに届くルートだ。
一方のチャネルは、例えば日本で言えばシネックスのようなディストリビュータがIntel製品を購入し、そこを通してインテグレータがホワイトボックスなどの製品にしてエンドユーザーに製品を提供している。自作PC市場に出回るCPUやマザーボードの単体リテールボックスなども、このチャネルのルートを通りユーザーに提供されている。
ダルマン氏によれば、Intelでは、ダイレクトOEMに劣らず、このチャネルを非常に重要視している。同社のCEOであるポール・オッテリーニ氏も「チャネルはIntelの戦略の基礎である」と述べている。
それは何故か。チャネルの特色としては、最新のCPUが登場した際など、ダイレクトOEMではエンドユーザーに届く製品が用意されるまで数カ月かかるところ、チャネルであれば数日から数週間で届けてしまうこともできるため、新たなビジネスをすばやく生み出すことができ、Intelのビジネスの進化も促してくれるというメリットがある。また、多種多様なシステムプロバイダがかかわり、ユニークな製品のイノベーションがおこる可能性も高く存在するからだ。
実際に、新技術を搭載したCPU、45nm CPUとQuad-Core CPUが登場した際には、当初の立ち上げの時期において、ダイレクトOEMよりもチャネルの方が新技術への移行で先行していたというデータも示された。上記は発売された製品に占める新技術の採用の割合であって、出荷数ではやはりダイレクトOEMの方が多かったそうだが、昨年のCore i7においては、出荷数でもチャネルの総数がダイレクトOEMの総数を上回ったという記録を作った。最新製品の普及に、チャネルが重要や役割を果たしているというデータである。
さらにダルマン氏は、そういったチャネルの市場のなかでも、特に日本市場の位置付けは特別なものなのだと説明する。先ほどのCore i7のチャネルでの動向では、Core i7の出荷開始当初、出荷数のシェアで日本が1位、現在の最新データでも2位となっている。同社はおよそ150カ国に製品を出荷しており、日本の2倍程の人口を擁する米国や、さらに人口の多い市場も含めてのシェアなので、この数字は驚くべきものであり、日本市場のCore i7の立ち上げへの貢献度は極めて大きい。
既に報じられているように、Intelはプロセッサ・ブランドを"Core"中心に組み変える。ハイエンドのCore i7に続き、メインストリームのCore i5の投入を完了し、2009年の第1四半期にはバリュークラスのCore i3も投入する予定だ。それぞれのセグメントが先進的な"Core"ブランドの製品へと置き換えられる。
新たな"Core"ブランドの普及においてチャネル、なかでも日本市場に寄せる期待は大きいものと見られる。ダルマン氏は、日本市場を、製品の信頼性やクオリティ、省エネにもこだわる洗練された市場であり、高性能なハイエンド製品への需要も大きいと分析している。同氏は、「マーケティングの観点から、日本はとても重要な市場」と話している。
なお、明日9月12日、インテルは東京・秋葉原でユーザーイベント「Intel Technology Day in Akiba 2009」を開催する。ダルマン氏は同イベントに参加し、講演も行なうことになっている。