BCNは9日、全国の大手家電販売店から収集した実売データを集計する「BCNランキング」にもとづいた、「デジタルカメラ」「薄型テレビ」「携帯オーディオ」における売れ筋の分析結果を都内にて発表した。携帯オーディオ市場分析に続いて、今回はデジタルカメラ業界の動向をみていきたい。
コンパクトデジカメの新たな機能軸
まず、デジタルカメラの台数構成比で約9割を占めるコンパクトデジタルカメラは8月まで6ヶ月連続で台数・金額ともに前年割れ。しかしながら、「販売金額の平均単価が2万円を切りそうだった1月からは持ち直しており、6月を底として回復の予兆もみえる」とBCNアナリストの道越一郎氏。ただ、その一方で2万円未満の低価格モデルが再び拡大しているといった現状も無視はできないだろう。
そんな中、新たな機能軸として「高速連写」「高倍率ズーム」「防水」などといった方向性が見えてきているという。ズーム倍率は4倍が主流(従来は3倍)となり、「単価を維持するためには10倍ズーム以上の製品が必要となってくるのでは」と道越氏は推測する。10倍台のズーム機はズーム倍率別台数構成比では、6.5%(2009年8月現在)とまだまだ少数派だが、着実な伸びをみせており、これから"付加価値商品"として注目が集まりそうだ。また、秒10コマ以上の高速連写モデルや防水モデルに関しても、搭載率を伸ばしており、特に高速連写モデルは急速に拡大し、存在感を増している。このほか、ニコンがプロジェクター搭載モデルを投入するなど新たな動きをみせている。
販売台数メーカーシェアでは、多機能かつ低価格路線でシェアを伸ばしたカシオがトップに。「低価格なだけではない、コストパフォーマンスに優れている点が評価されている」としていた。
オリンパス「E-P1」が市場を牽引
堅調に推移していたデジタル一眼も伸び率に急ブレーキがかかり、販売台数・金額ともに前年をかろうじて上回る水準。9月から年末にかけ、前年なみを維持できるかが焦点となる。
停滞ムードの中でも、オリンパスが6月に発表したマイクロフォーサーズ機「E-P1」は、前評判からの期待や宣伝効果もあり好調。デジタル一眼の平均単価もE-P1によって引き上げられているという。販売台数も、マイクロフォーサーズ機が全体の約2割弱となるなど、新たな市場の可能性をみせている。
またオリンパスはE-P1効果で、8月は販売台数シェア3位に。一方で、キヤノンとともにデジタル一眼2強とされているニコンは伸び悩みを見せており、エントリー機として評価の高かった「D40」の後継機となる「D5000」「D3000」が、「今ひとつターゲットが不明確なため、D40の不在が販売台数に響いているのではないか」と道越氏は分析していた。
なお、"流行"とされていた「動画」機能は搭載モデルが過半数となり、今後は「いかに動画を使っていくかの提案が重要」としていた。