ソニーはこのほど、マルチチャンネルインテグレートアンプ「TA-DA5500ES」を発表した。発売は10月25日を予定しており、価格は27万3,000円。

フロントスピーカーの位相特性に、他のチャンネルのスピーカーを合わせることが可能なマルチチャンネルインテグレートアンプ「TA-DA5500ES」

TA-DA5500ESは、家庭で、映画館やホールのような音響を実現することを目的としたモデル。これを可能にするのが、同社が世界初とする「オートマティック・フェーズ・マッチング」(APM)と、新開発された「HD デジタルシネマサウンド」(HD-D.C.S.)の搭載だ。

APMは、フロントスピーカーの位相に、他のチャンネルのスピーカーの位相を合わせるというもの。APMによる補正は、自動音場補正機能「アドバンストD.C.A.C.」の一部として組み込まれている。これによりフロントと違うスピーカーを使用した場合でも、位相だけでなく、各スピーカーの音圧レベル、周波数特性などが同一となり、すべてのチャンネルに同一のスピーカーを使用し、さらに理想的な環境に設置したのと同様の効果を発揮するとのことだ。読者の方の中には、自動音場補正機能にスピーカーの位相マッチング機能を搭載するというのは、既に、パイオニアのAVマルチチャンネルアンプに搭載される「フルバンド・フェイズコントロール」などがあり、世界初ではないのでは、と思う方も多いのではないだろうか。

この点を同社に確認してみたところ、「パイオニアさんのフルバンド・フェイズコントロールと弊社のAPMは、考え方としては非常に近いものです。ただし、フルバンド・フェイズコントロールでは、すべてのチャンネルのスピーカーを補正します。それに対して、APMでは、フロントスピーカーには補正を行わず、他のスピーカーをフロントスピーカーの特性に合わせるという方法を採っています。一般的に、マルチチャンネルの再生環境を構築する際に、フロントチャンネル用のスピーカーには、他のチャンネルのスピーカーに比べて、ハイグレードなものを使用する傾向があります。APMは、そのフロントスピーカーの持ち味を生かしながら、位相も含めた特性を揃えるというもので、この点が世界初となっています」とのことだ。

HD-D.C.S.は、映画館独特の反射音、残響音を作り出すもの。同社では、ハリウッドのソニー・ピクチャーズエンタテインメント(SPE)にある大型のダビングシアターの音響特性を測定し解析。そこでの反射や残響を、家庭で再現することを目指したという。HD-D.C.S.では、ダビングシアターの残響量を再現するシアタータイプ、実測値よりも残響などが少ないスタジオタイプ、実測値よりも多い残響を加えたダイナミックタイプの3種類のエフェクトが用意されている。

入出力は、HDMIが6入力/2出力を装備するほか、コンポーネント入力×3、光デジタル入力×6、同軸デジタル入力×3、光デジタル出力×1などを装備。定格出力は、フロント、センター、サラウンド、サラウンドバックの各チャンネルとも、120W(20Hz~20kHz、8Ω)となっている。

このほか、エントリークラスのプリメインアンプの新モデル「STR-DH100」も同時発表している。STR-DH100は、10月25日発売予定で、価格は3万1,500円。150W×2(JEITA、8Ω)の出力を持ち、60局のプリセットが可能なFM/AMチューナーも搭載する。デジタルメディアポートも装備されており、オプションのアダプターを利用することで、ウォークマンの「NW-A910/820/800」「NW-S710F/610F/700F/600」シリーズなどと接続することが可能だ。

なお、同じく同社の販売するエントリークラスのプリメインアンプ「TA-FE570」とは異なり、STR-DH100には、フォノ入力端子は装備されておらず、デジタルメディアポート以外の入力は、ライン系が5系統となっている。また、スピーカー出力は、A/Bの2系統を装備するが、スピーカー端子は、バネ式となっている。