独立行政法人の情報通信研究機構(NICT)は8日、スマートフォンで使える多言語音声観光情報サービスシステムを開発したと発表した。同システムを使えば、スマートフォンやPCで音声やテキストを通じ、さまざまな観光情報サービスを利用することができる。
世界各国から観光のために来日する外国人観光客の数が増加しつつある一方、外国人観光客が日本での観光を楽しむ上で「言語の壁」が大きな障害となっている。さらに、日本人観光客にとっても、「旅行を楽しむための観光情報を得られる場所・方法は限られている」(NICT)。
NICTではこうした課題を克服するため、京都府と連携し、NICTの持つ多言語情報処理技術などを生かし、スマートフォンやPCを使って、日・英・中・韓の多言語音声合成・多言語テキストでの電子掲示板や観光情報の検索・閲覧ができる「多言語観光情報サービスシステム」を開発した。
同システムでは、「旅行前」「旅行中」「旅行後」を通した一連の多言語観光情報サービスを観光客に提供する。これにより、「外国人観光客も快適に日本での観光を楽しむことが可能となり、観光立国日本を支える大きな一助と期待される」(同)。
利用シーンとして、例えば英国人観光客がスマートフォンを持って京都を旅行中、掲示板で「私が今いる場所の近くで美味しい豆腐料理店を教えて」と英語で質問し、その書き込みと書き込まれた場所を日本語訳で見た日本人が、店の場所と推薦文を日本語で書き込む。英国人はその書き込みの英語訳を見るとともに、音声で聴くことも可能で、その後豆腐料理店を訪問する、といった場合などが想定される。
NICTは、観光業者などと連携した大規模な実証実験を行うことにより、同システムを実社会に活用できるレベルに向上させていく。システムの有効性を検証するため、9月21日~30日の10:00~18:00に、財団法人京都府国際センターで実証実験を行う(22日は休み)。