営業の進捗状況を「俯瞰して見る」ことができるビジネスユースの傑作テンプレート

FileMakerを検討・購入される方々は、恐らく何らかのビジネスシーンにおいての活用をお考えではないでしょうか。事実、業務の効率化や生産性の底上げを図るものなど、数多のアイディアが詰め込まれた力作テンプレートが前回のファイルメーカー選手権にエントリーされていたことからも、そういった背景や状況が伺えてくる。そこで今回は、FileMakerの活用法の"王道"とも呼べるビジネスに活かせるテンプレート、「お客を育てるしくみ 基本コアシステム」(作者:齋藤誠さん)をピックアップして、その使い勝手やアイディアの素晴らしさを掘り下げていってみよう。

FileMaker傑作テンプレート紹介

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汎用性の高さがキラリと光る!

この「お客を育てるしくみ 基本コアシステム」は、作者の齋藤誠さんが「見込み客を育てる、また、顧客満足度を上げ、長期フォローをして購入後管理を容易にするために利用します。また、B to Cマーケティングを効率よく行うことを目的としています」としたように、主に営業スタッフをターゲットとしたテンプレートだ。画面を見ていただくとお判りかと思うが、顧客情報はもちろん、顧客がどういうステータスなのか、購買意欲は高いのか低いのかを[フォロー記号(一部[記号]と表記されている部分あり)]によってわかりやすくするとともに、顧客へのフォローはどうなっているのか、フォローするにあたってのコストは如何ほどなのかといった、営業スタッフが把握しておかなければならない情報や、今後取る行動を明確にしてくれるツールである。

こちらが基本画面。画面自体は非常にシンプルなものだが、顧客とのフォロー・スケジュールを把握すること、営業業界では"確度"などと表現される[フォロー記号]、フォローする内容やそこに掛かるコスト、フォローを行ったかどうかをひと目で確認できる

顧客情報を入力・管理する[対象顧客別情報]の画面がこちら。[情報カテゴリー]で顧客からどのようなアクションがあったのか、そのアクションの詳細をメモすることができる

そのため、基本設計が様々なジャンルでの営業活動に対応できるよう柔軟性に富んだ作りとなっている。例えば[フォロー雛形設計]にある[新規フォロー計画作成]では、顧客に対してどのように対応していくのかを決め込むことができるよう工夫がなされている。まず[フォロー記号]によって、顧客を「絶対買う!」「あと一押しで買うかも」「ひやかしか!」と少々極端な例だがセグメント分けを行い、どのような内容のフォローを実行するのか定義してしまうのだ。それによって、以降同様の顧客が現れた時の対応を容易にしてくれているのは素晴らしい。

本来であれば、顧客に応じて対応を"千変万化"させなければならないのが営業の鉄則でもあるのだが、営業スタッフのレベルには個人差がある。その個人差をフラットにして均一したレベルでの対応・サービスの提供が行えるというわけだ。ひいては、均一したレベルでの対応・サービスが顧客満足度を高める要因のひとつに成り得ることも、想像に難くない。

どのように顧客をフォローアップしていくかを策定していくのが[フォロー雛形作成]。フォローする内容を細かく設定することができるので、不動産であろうがアパレルであろうが自動車販売であろうが、カスタマイズ次第で応用の利く作りとなっているのがポイント

営業スタッフ全員に周知徹底させるために、非常に判りやすいマニュアルも用意されている。実際の利用シーンを順序立てて解説してあるため操作に躓くことなく利用してもらう環境が整っているのも高ポイント

こういったアイディアは、実際に営業スタッフを束ねる立場にならないと生まれてこないかもしれない。脈々と積み重ねられた経験を、如何に効率よく次代へ継承していくか。「お客を育てるしくみ 基本コアシステム」は、その回答のひとつの手段と言えるのではないだろうか。

機能に目新しさはなくとも、"現場目線"で考えられた秀逸テンプレートだ

過去に紹介してきた傑作テンプレートと見比べると「なんだ、特にキレイなわけでも斬新な機能があるわけでもないじゃん」と思われる向きもあろうかと思う。けれど、忘れてはいけないのは"達成しなければならない目的"がFileMakerを活用することで実現できるか否かだ。見た目の美しさやWebサービスとの連携を図りパワフルなツールに仕上げるに越したことはない。だが、ビジネスでは、特に営業のバックヤードにおいては結果がすべて。見込み客の「買いたい欲求」を刺激、醸成する手段をシステマチックに構成し、新人にもベテラン並みの顧客フォローを徹底させることができる「お客を育てるしくみ 基本コアシステム」は、数々の現場を経験してきた目線で開発されたのは言うまでもない。

こういった、自身の経験やノウハウといったパーソナル・スキルをテンプレートに落とし込んだものでもファイルメーカー選手権で上位入賞に食い込むことは十二分に可能だろう。事実、ビジネスや整理などのノウハウを紹介する書籍などが大ヒットを記録しているのだから。自分自身の経験やスキルを活かし、それらが機能として盛り込まれたテンプレートを作成して、様々な業種の方からの応募をお待ちしております!