内閣府は8日、8月の景気ウォッチャー調査の結果を発表した。3カ月前と比較した景気の現状に対する8月の判断DI(現状判断DI)は、前月比0.7ポイント低下の41.7ポイントで、8カ月ぶりに悪化した。天候不順や新型インフルエンザの流行で、旅行や夏物衣料といった"夏商戦"が振るわなかったことなどが要因。
現状判断D1が、横ばいを示す50を下回るのは29カ月連続。地域別にみると前月から上昇したのは、北海道、中国、九州の3地域のみ。四国は横ばいで、ほかの7地域は低下した。もっとも下がり幅が大きかったのは北関東で3.5ポイントの低下だった。
家計動向DIは、前月比1.1ポイント低下の40.3ポイントとなり2カ月連続で前月を下回った。エコカー減税やエコポイント制度の導入で、一部商品の販売増が続いたものの、旅行関連の売り上げ不振やキャンセル増、夏物衣料の売り上げ不振が響いた。「客は夏物セールに全く興味を示さない。顧客の来店回数も大幅に減少している。デフレ感のある価格に慣れ、セールでも数字が作れない」(南関東・衣料品専門店)といった切実な訴えもあった。
企業動向関連DIも前月から1.0ポイント低下し44.9ポイントに。受注量が依然低水準で、販売価格の引き下げ圧力も強いことで収益確保が難しいことなどが理由に挙げられた。同DIが前月を下回るのは昨年12月以来8カ月ぶり。一方、雇用関連DIは、一部での求人の動きなどから、前月から2.2ポイント上昇の43.7ポイント。昨年12月に8.5ポイントまで落ち込んで以来8カ月連続で上昇している。
2~3カ月先の景気についての、景気の先行き判断DIも前月比0.9ポイント低下し44.0ポイント。同D1が50を下回るのは27カ月連続。離職者の急増に対する懸念の後退や、一部での休業の縮小に対する期待などで雇用部門では上昇したものの、新型インフルエンザの流行拡大に対する不安や、販売価格の引き下げ圧力が続くことへの懸念などから、家計部門、企業部門で低下した。
内閣府は同調査結果からみる景気の現状について「厳しいながらも下げ止まっている」と、前月と同様の判断をしている。