ユーザーデータ/設定を仮想化
- 異なるOSにも自分のデスクトップを移せる!?

仮想デスクトップ環境は管理者にとっても大きなメリットがある。

まず、端末買い替え時などにユーザーから依頼されていたアプリケーション/データの移行作業が不要になる。これは導入するだけでそのまま効果が現れるわかりやすい利点だろう。

また、ユーザーのデスクトップをサーバ内で一元的に保持するかたちになるため、さまざまな場面で管理作業が容易になる。こちらはVMwareが今回のカンファレンスで大きなテーマの1つに掲げていた「管理コストの削減」を実現するうえで重要な要素だ。

例えば、OSやアプリケーションのアップデートなどもサーバ側で一括して行えるため、セキュリティホールへの対処も迅速かつ網羅的に実施できると考えられる。問題のあるアプリケーションの使用も、従来のように運用ルールで禁止するのではなく、ソフトウェアレベルで確実に止めることができるはずだ。

ただし、こうした運用を実現するためには、ユーザーデータ/設定と、従業員共通のデータ/設定やアプリケーション/OSレベルのデータを分けて管理する必要がある。アプリケーションのアップデートともにユーザーの環境が初期化されてしまうことがないようなアーキテクチャが必要だ。

そこで、VMwareは今回の会期中、米RTO Softwareと共同で、VMware Viewにおいてユーザーのパーソナリティ(ユーザーデータ/設定)を独立的に管理するソフトウェアを開発することを発表した。ユーザーのアクセス時にOS/アプリケーションとのマージを迅速に行え、アプリケーションの更新なども動的に行うことが可能。インターナルクラウド/エクスターナルクラウド間でユーザーデータ/設定を移すこともでき、さらに異なるOS/アプリケーションに持っていってもユーザーの環境を再現できるようなものを考えているという。すなわち、"ユーザーデータ/設定の仮想化"を実現する技術となるようだ。

個人データ/設定を管理するソフトウェアをRTO Softwareと共同開発することを発表

PC-over-IP対応製品を年内リリース

VMware View関連で行われたもう1つの発表が、PC-over-IPで通信を行うソフトウェアの年内リリースである。

PC-over-IPは、仮想デスクトップを高速化するプロトコル。米Teradiciの技術で、専用のハードウェアを用意しなくても動画や3Dアニメーションも滑らかに再生できるといった特徴がある。

PC-over-IPで通信を行うソフトウェアを年内にリリース予定

その模様は基調講演でも披露されたが、Windows 7のAeroによるウィンドウ切り替えも問題なく実行されていた。

基調講演でのデモの様子

加えて、米Wyseのブースでは、PC-over-IPの仮想デスクトップ環境のパフォーマンスをさらに向上させる専用端末も披露されていた。こちらは、一足早く来月に発売される予定だという。

Wyseのブースで披露されていたPCoIP対応の専用シンクライアント端末

Google Earthもスムーズに動作する