既報の通り、パナソニックはマイクロフォーサーズ規格のレンズ交換式カメラ「LUMIX DMC-GF1」を18日から発売する。パナソニックデジタルAVCマーケティング本部長の西口史郎氏は、「LUMIX Gシリーズ3機種がそろい、パナソニックが目指した新市場創造をさらに加速させていきたい」と意気込みを語る。

3色展開かつ小型軽量な「コンパクト一眼」

DMC-GF1は、オリンパスと共同で開発したマイクロフォーサーズ規格を採用。同規格では、「LUMIX DMC-G1」「LUMIX DMC-GH1」をパナソニックが、「OLYMPUS PEN E-P1」をオリンパスが発売。今回のDMC-GF1は、パナソニックにとって3機種目のマイクロフォーサーズ機となる。

パナソニックのマイクロフォーサーズ機。いずれもこれまでのデジタル一眼レフカメラにないカラーリングを採用

そのDMC-GF1は、特に「ファッション性」を意識したカメラだ。ボディはフラットでコンパクトデジカメラのようなスタイル。本体サイズは119(W)×71(H)×36.3(D)mm、約285gで、オリンパスのE-P1よりも軽く、ボディサイズはわずかに大きいものの、「フラッシュ内蔵レンズ交換式デジカメでは世界最小・最軽量」となり、DMC-G1比で35%の小型化、26%の軽量化を達成。ビューファインダーを省いたことと、薄型のマウントボックスを新開発し、高密度実装・部品点数の削減によって実現したという。

フラットでコンパクトなボディ

DMC-G1と比べて大幅な小型化を実現

世界最小・最軽量を実現するための技術

DMC-GF1のカットモデル。特にマウントユニットが薄型化されている

西口本部長は、「DMC-GF1で特に20~30代の女性をターゲットにしている」と話す。デジタル一眼カメラは、2010年には2006年の約2倍、140万台近くまで成長すると予測されており、その成長を支えているのは女性ユーザーだという。全メーカーのデジタル一眼購入者の内、女性ユーザーの平均は2004年の6%から2008年には16%に伸び、LUMIX Gシリーズでは2008年に23%にも達したそうだ。

好調に推移するデジタル一眼市場

デジタル一眼ユーザーの内の女性の比率。特にGシリーズは女性のシェアが高い

しかし、Gシリーズユーザーの女性の内、40代以上が7~8割を占め、20~30代は3割に満たない程度だった。ただし、20~30代でデジタル一眼の購入意欲があるのは半数近くに上っている。そこから西口本部長は、「潜在ユーザーはまだまだたくさんいる。潜在ユーザーを顕在化することが新たな課題」と指摘する。

同社が20~30代女性を調査した結果によると、写真の撮影・プリントが趣味という人が55%おり、オシャレが好きだから常に気を遣っており、持ち歩くものは軽く、カラーバランス、服のコーディネートに合わせたものという傾向が見られた。デジタル一眼によってもっとキレイな写真を撮り、写真を楽しみたいという女性も多いが、デジタル一眼を使って重く大きく、操作が難しいという不満も多かった。

20~30代の女性ユーザーが少なく、ここが潜在ユーザーとして見込める

20~30代の多くの女性は写真に興味がある

もちろん、オシャレにも気を遣う

そして現状のデジタル一眼カメラには不満

そこで開発されたのがDMC-GF1だ。前述の通り、ボディはコンパクトで軽量を実現。同時発売のパンケーキレンズ「H-H020」との組み合わせなら、「女性が普段使うかばんにも、パーティバッグにも収まる」(西口本部長)サイズだ。フラッシュを内蔵しながら、コンパクトデジカメに近づく小型ボディを実現したことで、女性でも気軽に持ち歩けるようにした。

同社のコンパクトデジカメでも採用されている動画フォーマットの「AVCHD Lite」を採用。1280×720のHD動画の撮影機能を備えており、しかもシャッターボタン横のボタンを押すだけですぐに動画撮影を可能にした。

スタイリッシュなデザイン、薄型のパンケーキレンズでバッグへの収まりもいい。しかもF1.7という大口径のため、一眼ならではのボケも楽しめる

手軽にHD動画の撮影も可能。フルHDに対応しなかったのは「DMC-GH1との棲み分けのため」(同社)らしい

動画撮影時も「おまかせiA」が動作するので、手軽に撮影できる

一眼らしいボケを動画でも手軽に楽しめる動画Pモード。画面上のバーを左右に動かすことで、背景のボケ効果を確認しながら撮影できる

「H-H020」(LUMIX G 20mm/F1.7 ASPH.)のスペック

ファッションとのコーディネートを意識する女性に向けて、本体カラーもシェルホワイト、アーバンレッド、エスプリブラックの3色を用意した。

被写体を選ぶと、その被写体以外がぼけるように絞り値が自動で最も小さくなる「背景ボケモード」

カラーを調整する「新マイカラーモード」では、7つのプリセットを搭載し、さらに自分で調整も可能

こうした女性を意識したスペックを実現したことで、もっといい写真を撮りたいというコンパクトデジカメからのステップアップユーザーや、もっと気軽に使いたいという既存のデジタル一眼ユーザーのニーズにそれぞれ応える「まったく新しいカテゴリーのコンパクト一眼という市場の創出」(同)を目指していく意向だ。

DMC-GF1を持つ西口史郎本部長

新しい市場の創出を目指す

西口本部長は、コンパクトデジカメ市場が成熟期を迎える一方、デジタル一眼市場は成長を続けており、特にパナソニックでは「コンパクト一眼」に重点をおき、女性を中心に提案していく考え。「一眼の美しさとコンパクトの便利さを両立させた」(同)コンパクト一眼を、2010年にはデジタル一眼の「3台に1台にまで成長させる」と意気込み、シェア30%以上を目指していく。

新レンズとして、マイクロフォーサーズで初めてLeicaブランドのマクロレンズも投入

「H-ES045」(LEICA DG MACRO-ELMARIT 45mm/F2.8 ASPH./MEGAS O.I.S)。光学式手ブレ補正も内蔵する

今後のレンズロードマップ。望遠レンズ、広角パンケーキレンズ、魚眼レンズを2010年にリリース予定

発表会場にはモックアップが展示されていた

H-H020(左)とH-ES045

同じマイクロフォーサーズ機のE-P1、DMC-GH1との比較

別売のライブビューファインダー

DMC-GF1の基板や撮像素子。画像処理エンジンのヴィーナスエンジンHDやLiveMOSセンサーは「DMC-G1と同じもの」(同社)

カメラケースやストラップなども新たに用意

CMキャラクターは従来通り女優の樋口可南子さんと女流一眼隊

「DMC-GF1」フォトコレクション