9月1日、パナソニックは新たな省エネ機能を搭載した白物家電新製品発表会を開催した。現在、白物家電を取り巻く市況は、「100年に一度の大不況」「消費不振」のただ中にあり、苦戦を強いられていることは周知の通り。2009年度4月から7月、市況全体は金額ベースで前年比95%、昨年からの極めて厳しい状況は変わらない。とくに、天候不順が影響したエアコンは今夏、前年比89%と大きく落ち込んでいる。

「エコナビ」搭載製品CMに出演する久保純子さん(左)と吉瀬美智子さんも発表会に登場。エコナビ搭載の商品を使うこと自体が暮らしの中での「エコ」になると意気投合する場面も

その中において、市場のどこかに必ずビジネスチャンスはあると考えるパナソニックでは、
・新興国市場の拡大と巨大な中間所得層の出現
・世界的な環境意識の高まり
これらの流れをとらえ、事業展開していくことを明らかにした。目指すところは、グローバル規模で1兆円販売の早期実現、くわえてグローバル・エコNo.1ブランドの確立である。

パナソニックが目指す「ボリュームゾーンの攻略」

環境コア技術により、「節水」「省エネ」を実現

目標に向け、パナソニックがマーケティングのポイントとして最も重点を置いているのは「省エネニーズの獲得」。つまり、省エネ製品を強化、さらには、これまでにない新しい環境コンセプトを提案し、ますます高まりをみせている顧客の省エネニーズを獲得していこうとするものだ。そのための強力な武器となるのが、今回の新商品で展開する新たな環境コンセプト、「エコナビ」だ。こちらは「パナソニック独自のセンサー技術」と「最適運転を実現するプログラム技術」によって、ムダを省いて、さらに省エネを進めていこうとするものである。

パナソニック 常務取締役 ホームアプライアンス社長の高見和徳氏

パナソニック 役員 アプライアンス・ウェルネスマーケティング本部 本部長 石井純氏

エコナビが搭載されると、どのようにしてさらなる省エネを進めていくのか。たとえば、洗濯機ではセンサーの働きで衣類の量や汚れの程度に合わせて運転するようになる。つまり、量が少なく、泥や汗、汚れが軽いものは短時間で洗濯をすませることで省エネを図るといったことがある。

厳しい市況の中でも、付加価値商品が全体を牽引している

「買い替えサイクル需要」「省エネニーズ」の獲得を目指す

これまで、白物家電では各社とも、消費電力や洗濯機の水の使用量といったスペックで省エネ性能を競っていた。その中で、パナソニックは多数の製品で省エネNo.1を獲得してきた実績がある。パナソニックが考えるこれからのエコは、性能だけを追うのではなく、暮らしの中でユーザーが手間をかけずに、さらに省エネができるようにすることを意識している。単なる性能という数字の上での競争ではなく、使い手の生活に合わせて運転を最適化していこうとするところが新しいエコへの考え方だ。

付加価値商品投入で市場を活性化

今回の発表会で紹介された製品は「冷蔵庫」と「洗濯機」だ。冷蔵庫では、トップユニット冷蔵庫「XVシリーズ」2機種と「4Tシリーズ」4機種、全6機種を発表した。先の新たなエココンセプトである業界初の「エコナビ」を搭載し、生活パターンに合わせて省エネを実現している点が新しい。

新たに発表されたトップユニット冷蔵庫

照度センサー。部屋の灯りが消えていることを検知すると、おやすみエコモードで運転

具体的には、4つのセンサーで各家庭の生活パターンを記憶し、分析予測して使用状況に合った運転をしている。共働きの二人家族では、朝食と夕食時は冷蔵庫の開け閉めの回数が増えるのでしっかり冷蔵する。夜間の寝ている間は開け閉めの頻度が下がるので、冷却運転を低減させる。二世帯の大人数世帯、両親と子どもの世帯など、それぞれの生活スタイルに合わせることで、エコナビ運転をありにすると、なしのときと比べて、冬季(周囲温度15℃)で約15%、夏季(周囲温度30℃)で約12%、電気代をカットできるようになっている。そのほか、高効率なコンプレッサーと冷却器の開発により省エネ性を向上。「ナノイー」で、野菜室を除菌(XVシリーズのみ)といった機能がある。

トップユニット冷蔵庫の商品特長

洗濯機は、ななめドラム洗濯乾燥機「NA-VR5600L」など、全4機種を発表した。こちらもエコナビ搭載。衣類の量や汚れの程度に合わせて運転することで、洗濯時、最大約10%省エネ、約7%節水を実現させた。洗濯機に搭載されているエコナビのセンサーは3つ。ドラム内に投入された洗濯物の量を検知する「布量センサー」、洗浄液のにごり具合で、泥汚れ等を検知する「泥汚れセンサー」、洗浄液の電流の通りやすさで、汗汚れ等を検知する「汗汚れセンサー」。これらにより、洗濯物の量と汚れが少ないときは、洗濯時間、消費電力量、使用水量を少なくすることができる。

ななめドラム洗濯乾燥機の新モデル

泥汚れセンサーと汗汚れセンサーが洗浄液をチェックしている

そのほか、新開発の「Wジェットダンシング洗浄」と「高効率エコ乾燥システム」搭載で省エネ・節水ともに性能を向上。また、Wジェットダンシング洗浄方式で高い洗浄力と時間短縮を実現。ナノイーで衣類の除菌、消臭。さらにはプレ洗浄効果などの機能など、魅力的な機能が満載されている。

ななめドラム洗濯乾燥機の商品特長

市場予想価格は、ななめドラム洗濯乾燥機「NA-VR5600L」「NA-VR5600R」が30万円前後、「NA-VR3600L」「NA-VR3600R」が26万円前後。トップユニット冷蔵庫「XV」シリーズの「NR-F601XV」が32万円前後、「NR-F551XV」が29万円前後、「4T」シリーズの「NR-F604T」が30万円前後、「NR-F554T」が27万円前後、「NR-F504T」が25万円前後、「NR-F474TM」が24万円前後となっている。冷蔵庫、洗濯機以外にも、今後は、エアコンなどの新たな商品にもエコナビを搭載していく予定だという。