NVIDIAは8月28日、現役の高校生および高等専門学校生を対象とした「高校生のためのCUDA サマーキャンプ」を開催した。当日はGPUアーキテクチャの概要解説からはじまり、CUDAハウツー講座の受講などを経て、参加者が実際にCUDAプログラミングを実践するまでに至るという、比較的高度な内容。しかしながら、参加した約50名の殆どが、最後まで興味を失わず積極的にCUDAを学んでいる姿が印象的であった。
東京の日本NVIDIAオフィスにて、一般募集であつまった全国の高校生および高等専門学校生がCUDAプログラミングにチャレンジ。この日のために「夜行で来ました」「前日に泊まりで」等々、かなり遠方からの参加者も |
現在、GPUはゲームに代表される従来の3Dグラフィックス用途以外に、GPUコンピューティングで金融、医療、ライフサイエンスといった高性能計算分野にも用途を拡大している。今後もGPUの並列演算能力の活用への期待が高まっているなか、NVIDIAでは、それらの発展をになう対象者の裾野を広げる目的で、GPUプログラミングに関心がある学生に対して、今回の「CUDA サマーキャンプ」を企画したのだという。
集まった学生は、まずはGPUアーキテクチャの説明、ついでパラレルコンピューティングおよびCUDAの概要、CUDAプログラミングの方法について受講。さらに、サマーキャンプの最後には、参加者がチーム別にわかれて、受講内容を応用しながら、実際にCUDAプログラムを記述し、定められた課題に挑むCUDAプログラミングコンテストが催された。
募集要項に「Cの基礎知識があること」が含まれていたため、集まった学生はプログラミングにおいてまったくの素人というわけでは無いものの、業界でも最先端のCUDAに関する課題なので、それなりに難解ではある。ただ、現役エンジニアのわかり易い講義の甲斐があってか、各チーム悪戦苦闘しながらも、高いモチベーションで課題にチャレンジすることが出来ていたようだ。今回のCUDAプログラミングの講師で、フィックスターズのエンジニアである飯塚拓郎は、「たった1日の講習でCUDAプログラミングの基礎を習得し、現在取り組んでいる課題にCUDAを活用したいという高校生の意欲に感銘を受けた」と話している。
CUDAプログラミングコンテストでは、課題の達成度に応じて上位チームを表彰。表彰された学生達は、「初めてCUDAで書いた。ちょっとクセがあったけど、確かに書きやすかった」「CUDAはこれからにつながる技術。未来の技術だと思う」などと、CUDAについての印象を述べていた。最後に、参加者には抽選で最新のハイエンドグラフィックスカード「NVIDIA GeForce GTX 285」や、取り組みに賛同する日本エイサーから「Aspire Revo」などがプレゼントされた。
なお、日本NVIDIAの代表である細井洋一氏は、今回のセミナーでの手ごたえを踏まえ、高校生を対象としたCUDA入門講座は今後も続けて行きたいと説明している。今回、「次回も参加したい」と意欲を見せる参加者も多く、今後の日本のGPUコンピューティングの発展のためにも、是非とも続けて行って欲しい取り組みであろう。