皆さんはiPhoneの「Find My iPhone」という機能をご存知……いや、覚えているだろうか? iPhone OS 3.0のプレビューでもさんざん紹介された新機能ではあるのだが、普段使わないためにすっかり忘れていたという人もいるはず。ところが米国で先週末、この機能をフル活用して、自分から金目のモノを身ぐるみ剥いでいった強盗らをGPSで追い詰めるという事件が発生し、一躍大活躍することとなったのだ。
「Find My iPhone」ってなんだ?
まず「Find My iPhone」について簡単におさらいしておこう。これはiPhoneユーザーがMobileMeを契約することで利用できるサービスで、行方不明になったiPhoneの現在位置をGPSを使って地図上に映し出すものだ。リモートワイプ機能もついており、遠隔操作でiPhoneの全データを抹消して個人情報を守ることもできる。理屈だけ聞いていると便利な機能とはいえ、めったに使うものでもなく、iPhoneユーザーでさえ話を聞くまで思い出せない機能の筆頭格かもしれない。だが、いざというときに頼りになるナイスな機能だ。
「Find My iPhone」でiPhoneの位置がわかる(WWDC 09より) |
強盗事件発生! iPhoneも盗まれた被害者がとった行動は……
事件が起きたのは米東海岸はペンシルバニア州のピッツバーグ。同州内最大のフィラデルフィアに次いで第2の都市だ。以前は鉄鋼の街として米産業の中心で活躍したが、日本や韓国が台頭してきたことで街の産業は衰退して治安も悪化する。現在はカーネギーメロン大学(CMU)を中心にハイテクの街として生まれ変わり、以前ほどではないものの活気を取り戻している。ハイテクと再開発で生まれ変わったとはいえ、以前の治安の悪さも多少は残っているようだ。
Pittsburgh Tribune Reviewの8月31日(現地時間)の報道によれば、今回の被害者が夜中の1時にピッツバーグ市内のAmberson Avenueを歩いていると、突然2人の男に銃を突きつけられたという。ポケットを探られて携帯とサイフを取り出され、銀行口座のPIN番号を聞き出した後に解放された。一報を聞いて被害者宅に駆けつけた警官らが見たのは、盗まれた銀行のATMカードとクレジットカードの解約をしつつ、PCを使ってGPSで強盗の足取りを追跡している被害者の姿だった。盗まれた携帯電話とはiPhoneであり、このFind My iPhoneのサービスを使って追跡を続けていたのだ。
GPSが示すままに、犯人らの足取りは丸見えだった。ピッツバーグの街を出た後、強盗らはホームウッド(Homewood)のガソリンスタンドで給油を行い、その後にノースバーセイルズ(North Versailles)に移動してWal-Martで買い物をし、その足で同市内のEat'n Park Restaurantで食事をしたようだ。後の照合で、ホームウッドのガソリンスタンドにあるATMで500ドルの現金を引き落とし、42.60ドルぶんのガソリンを給油していることがわかっている。警官らが犯人に遭遇したのはノースバーセイルズのガソリンスタンドで、この道路を渡ろうとしていた2人の男とさらにもう1人の男を発見、3人とも強盗と盗難品の不正使用の罪で逮捕した。
最初に被害者を路上で拳銃を使って脅したのはBryant Rather (22)とBrent Ray Potter (22)で、最後にノースバーセイルズの路上で2人と一緒にいたところを捕まったのがMyron Knox Jr. (22)。3人ともにその日のうちに同州アレゲニー(Allegheny)の拘置所へと移送され、9月3日に開催予定の公聴会を待っている段階だという。犯人らの写真とiPhoneの活躍についてはPittsburgh Channelのサイトでも確認できる。