昨年、アメリカの映画館に最も多くの観客を動員し、名実ともにハリウッドNo.1のドル箱スターと認められたウィル・スミス。この記録は、テイストの異なる2本の主演作で達成されている。それが、日本でも2009年上半期のTSUTAYAのレンタルDVDランキングでトップに輝いたアクション大作『ハンコック』と、9月2日にリリースされる感動作『7つの贈り物』である。

アメリカのフォーブス誌によると、2008年6月から2009年6月までのウィルの収入は4,500万ドル(約45億円)!!
(c) 2008 Columbia Pictures Industries, Inc. and Beverly Blvd LLC. All Rights Reserved.

コメディ、アクション、人間ドラマ、とジャンルを問わずメガヒットを飛ばす彼の一番の魅力は、多彩な顔だ。12歳から歌手活動を始め、友人ジェフ・タウンズとヒップホップ・グループ、DJジャジー・ジェフ&フレッシュ・プリンスを結成。全米トップ10ヒットを連発し、1988年には、グラミー賞最優秀パフォーマンス賞を獲得する。この人気をバックに1990年、TV界にも進出。自身のキャラクターをそのまま生かしたコメディドラマ『ベルエアのフレッシュ・プリンス』は、熾烈な視聴率競争に勝ち抜いて6年間続き、お茶の間に大勢のファンを増やした。ちなみに、現在の妻ジェイダ・ピンケット=スミスと知り合ったのは、本作のオーディションがきっかけ。彼女が彼の恋人役に応募してきた(結果的には、彼の相手役を演じるのは身長が低すぎて落選)というから、まさに運命的な出会いと言えるだろう。

1992年、ストリート・キッズたちの青春を描いた『ハートブレイク・タウン』で満を持して映画界へデビュー。そのわずか4年後の主演作『インデペンデンス・デイ』で一気に世界的トップスターへと駆け上がる。音楽界へ復帰すれば、98、99年とグラミー賞に輝き、縦横無尽の活躍は目を見張るばかり。さらに、2002年の『メン・イン・ブラック2』から2008年の『ハンコック』まで、主演映画が8作品連続で興行収入1億ドル(約100億円)越え、という前人未踏の偉業まで達成している。

その中の1本である、2006年の映画『幸せのちから』は、彼の俳優としてのキャリアを一段と押し上げたことでも知られている。息子ジェイデン・スミスと親子共演を果たした本作で彼が演じたのは、家も職も失った父親。今までの娯楽作とは一線を画す、シリアスな内容だった。主人公が1人息子のために人生を立て直そうと奮闘し、どん底から這い上がっていく姿は、多くの観客の心を捉えた。ウィルの熱演は批評家からも絶賛され、第79回アカデミー賞主演男優賞に初ノミネート。ついに"演技派"の称号を得るに至った。ハリウッド広しといえども、彼のようにマルチな才人はそういない。何をやっても周囲の期待以上の結果を残すウィル・スミス。私たちは、彼の多彩な顔に魅せられてしまうのだ。

『幸せのちから』のスタッフが再結集

『7つの贈り物』は、ウィル・スミスが新境地を開拓した『幸せのちから』のスタッフと再び組んだ作品。彼がこのプロジェクトへ参加を決めたのは、監督ガブリエレ・ムッチーノやどのキャストよりも早い、2006年6月というから、この作品にかける思いの強さが伺える。物語のテーマとなっているのは、贖罪と希望。彼が演じるのは、7人に人生を変える贈り物を渡そうとする、ミステリアスな男ベン・トーマスだ。ベンはある事件を経験して大きな心の傷を負う。その痛みに耐え切れず、独りでむせび泣くシーンは、観客の胸を締め付ける。私たちが見慣れている、陽気でハッピーなウィル・スミスの姿は、そこにはない。

冒頭で主人公が語るモノローグに、大きなヒントが隠されている
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この物語に更なる深みを与えているのが、ウィル・スミスの脇を固める俳優陣。ベンの選んだ7人のメンバー、重い心臓病を患う美女エミリーには、『メン・イン・ブラック2』で彼と共演済みのロザリオ・ドーソン。エミリーとベンは恋に落ち、セクシーなベッドシーンを披露するのだが、意外にもウィル、本作が"濡れ場"初体験。ドーソンによると、彼は彼女に抱かれ、緊張のあまり震えていたという(笑)。このシーンは絶対に見逃さないで欲しい。同じくメンバーの1人である盲目のピアニスト、エズラに扮するのは、『ノーカントリー』のウディ・ハレルソン。危険な男の役を得意とする超個性派が、静かでありながら強く印象に残る巧みの演技を見せる。

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ベンが何者なのか、その計画の目的と贈り物の中身は何なのか、どんなトラウマを抱えているのか? ……それらは物語が進むにつれて徐々に明かされていく。映画は冒頭で多くの謎を投げかけ、驚愕の結末に辿り着いた瞬間、観客がすべてを知る仕掛けとなっているのだ。賛否はあろうが、見終わった後はこの結末が意図するものについて語りたくなること間違いなし。本作で、新たなウィル・スミスに出会って欲しい。

ベンの最終目的とは……?
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『7つの贈り物』

9月2日(水)発売 (DVD/Blu-ray)
発売・販売元:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
DVD=3,990円 Blu-ray=4,980円

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