Tech・Ed ではテクニカル セッションの1つとして、「衝撃のオフィス業務革命 ~最小で、最強を~」が設けられた。プレセンターはマイクロソフトの北陸支社に所属していた筏井哲治氏と中林秀仁氏。中林氏が上司役・筏井氏が部下役で同支社での業務改善を例に取りながらコミカルに進められ、会場はしばしば爆笑の渦に包まれた。
両氏が指摘したのは、我々の日常のビジネスは、さまざまな情報にあふれているが、これらの情報をきちんと整理しているだろうか? という点だ。
スケジュールは手帳に書きとめ、会議に向けた配付資料を作成し、会議ではホワイトボードを使い、内容はノートに記録。社外とのやり取りでも打ち合わせ資料や作業指示書など、資料や書類が欠かせない。
ただ、これらのアナログの情報をデジタルデータ化すれば、一見、データを整理しやすくなる。スケジュールについてはスケジューラ、配付資料はプレゼンテーションソフト、会議の内容にはワープロソフトや表計算ソフト、あるいは録音データといったように、さまざまなソフトでデータ化が容易になっている。また、現在ではほとんどの企業で情報共有のためにファイルサーバを設置している。
しかし、情報を共有したからといって安心はできない。効率的に管理しなければ散らかったデスクトップと同じ、数が膨大になるため事態はより深刻さを増してくるからだ。
「情報の分散が生産性の極端な低下を招きます」と、筏井氏は指摘する。5S(整理・整頓・清潔・清掃・しつけ)をITに置き換えるなら、情報、関連性を含めて整理・整頓し、不要なファイルは削除または他の場所に保管し、運用ルールを周知徹底することが、重要なカギとなってくるという。
既成概念の破壊で効率アップ
業務効率の改善に着手する前提として、中林氏と筏井(いかだい)氏は組織業務上の成果を分析してみせる。組織業務上の成果は、生産性、人数、時間の3要素で構成されるという。
そこで、生産性についてさらに掘り下げると、労働装備率・プロセス標準化・習熟度に分けられると、中林氏は分析する。
労働装備率はソフトやPCなどの“見える”部分だが、プロセス標準化は最適化や標準化など、習熟度は知識やノウハウなど、“見えない”部分となる。効率改善においては、この見える部分と見えない部分を一体として考える必要があるというのが、中林氏の指摘だ。
筏井氏によると、北陸支社では業務改善に先立って、まずは既存の業務スタイルの刷新と試みたという。具体的には、無駄なプリントアウトの禁止。ホワイトボードの使用禁止。メモ帳の使用禁止、本社や他の支店への電話の禁止、会議室の使用禁止、などだ。
「こんなに何もかも禁止されて、仕事はできるんですか?」と中林氏はごく自然な質問を投げかけるが、意外と支障は無かったと筏井氏は振り返る。タブレットPCやWindows Mobileの使用、他の拠点とはLive Communicationで意思疎通、社内会議はOneNoteの利用と、まさしく同社製品群の駆使により、業務効率は落ちるどころか大幅に向上したという。