8月22日、東京都目黒区において「ABUアジア・太平洋ロボットコンテスト2009 東京大会」が開催された。
17カ国19地域の予選を勝ち抜いた代表20チーム(主催国の日本は2チーム)が駒沢オリンピック公園総合運動場 体育館に集結。各国の大学生・工科大学生たちが、独自のアイデアを駆使して作成したロボットを使い、熾烈な戦いを繰り広げた。
本稿では、ABUロボットコンテストの背景や今大会のルールに触れながら、熱戦の模様をお伝えしよう。
ABUロボットコンテストとは
まずはABUロボットコンテストについて説明しておこう。
ABUロボットコンテストは、大学生向けロボットコンテストのアジア・太平洋大会。ABUは、Asia-Pacific Broadcasting Union(アジア太平洋放送連合)の略称で、同団体に属する各国の放送局が主体となって運営している。
2002年に第一回大会が開かれ、今年で8回目。過去、東京、バンコク(タイ)、ソウル(韓国)、北京(中国)、クアラルンプール(マレーシア)、ハノイ(ベトナム)、プネ(インド)と開催してきており、今年は7年ぶりに日本での開催となった。
今回は、各地域で1200を超えるチームが予選に参加。そこを勝ち抜いた20チームが本選に出場した。本選では、まず3チームもしくは2チームによる総当たりのリーグ戦を実施。それを1位通過した7チームと、2位の中で最も成績が良かった1チーム(ワイルドカード)が決勝トーナメントに進み、準々決勝~決勝を戦った。
大会テーマ「旅は道づれ 勝利の太鼓を打て」
毎年、開催地の文化や伝統を反映したかたちの独自ルールで実施されるこの大会。今回は『旅は道づれ 勝利の太鼓を打て』という競技名が付けられ、駕籠屋の動きを意識したレースが採用された。
使用するロボットは3台。うち2台は駕籠をかついで運ぶロボット(以下、駕籠屋ロボット)、もう1台は駕籠に乗って運ばれる"旅人ロボット"である。駕籠屋ロボットが旅人ロボットを所定の位置まで運び、旅人ロボットが駕籠を降りて太鼓の前まで移動。旅人ロボットが縦に積み重ねられた3つの太鼓をすべて打ち鳴らすとゴールとなる。
駕籠屋ロボットのうち、前方を担うのはコースを認識して自動で動くロボット、後方は操縦者の操作に従って動く手動ロボットでなければならない。また、旅人ロボットは、駕籠の乗り降りや太鼓前までの移動、太鼓の打ち鳴らしといったすべての動作を自動で行わなければならないルールになっている。
レースの主なポイントは6つ。以下、順に説明していこう。
まずは、駕籠屋ロボットがスタート地点で駕籠をかついでスタートすること。
その後、駕籠屋ロボットは、旅人ロボットが待つ停留場の前で止まり、駕籠を下ろす。それと同時に旅人ロボットが駕籠に乗り込む。乗り込みが終わったら、駕籠屋ロボットは再度駕籠をかつぎ、移動を開始する。ここまでが2つ目の関門と言える。
3台の行く手には、峠と林が待ち受ける。峠は高さ30cm程度の上下スロープで、こちらが第3の関門。
第4の関門の林は、1m80cm程度の感覚で設置された3本のポールで、ロボットたちはその間をジグザグに抜けなければならない。
峠、林とも、自動ロボットがコースを認識して先導し、手動ロボットがそれを邪魔することなくサポートしなければならない。道中、駕籠が前後のロボットに触れてしまうとファウルとなり、関門の前まで戻されてしまう。自動ロボットの精密さと手動操作の正確さが同時に求められる、地味ながらも難易度の高い課題となっている。
林を抜けると、駕籠屋ロボットは所定の位置で止まり、駕籠を下ろす。そこで旅人ロボットは駕籠を自動的に降りなければならない。これが第5の関門。
駕籠を降りた旅人ロボットは太鼓の前に移動し、3つの太鼓を打ち鳴らす。これが最後の関門になる。なお、太鼓を打つ際には、太鼓の側面に触れたり、縁を叩いたりしてはいけないことになっている。