既報のとおりシャープは8月27日、モバイルインターネットツール「NetWalker」を発表した。ホワイト系「PC-Z1-W」、ブラック系「PC-Z1-W」、レッド系「PC-Z1-R」の3色をラインナップし、発売日は「PC-Z1-W」「PC-Z1-W」が9月25日、「PC-Z1-R」が10月下旬を予定している。店頭予想価格は44,800円。
OSはUbuntu 9.04(シャープカスタマイズ版)、CPUはi.MX515(800MHz)、メインメモリは512MB(固定)、ストレージとしては4GBフラッシュメモリ、ディスプレイは5型ワイドTFT(1,024×600ドット/最大65536色、LEDバックライト)。
発表会ではまず、シャープ 代表取締役 副社長執行役員 商品事業担当 松本雅史氏が「NetWalker」のコンセプトを紹介した。
「最近ではパソコン、携帯電話、ネット対応テレビなど、インターネットに繋がる商品が増え、回線も光をはじめ通信環境が整備され、モバイルでも高速通信インフラが整ってきた。これにより、さまざまなインターネットサービスが利用できるようになってきた。その中の代表は携帯電話とノートパソコンだが、携帯電話は画面に制約があり、ノートPCはバッテリーの寿命が短く起動に時間がかかるうえに常に持ち歩くには重いなどの一長一短がある。そのため、携帯電話だけを持ち歩くことが多くなる。このように携帯電話だけを持ち歩くユーザーに対しての、2台目のモバイル端末市場は大きいと考え、シャープが新しいコンセプトを提案することにした」とのことだ。
そのコンセプトがノートPCの機能を損なうことなく常に持ち歩くことができる"ケータイ Plus One"。このケータイ Plus Oneの商品として登場したのがモバイルインターネットツール「NetWalker」である。電源を入れると3秒ですぐに使えるクイック起動(スリープ状態から)、ポケットに入る小型軽量、持ち歩きに最適な長時間駆動に加え、操作性に優れるなどの特長を持つ。
利用シーンとしては、パーソナルユースではブログやインターネットを携帯電話より大きな画面でチェックする。ビジネスユースでは会社で作成したオフィス文書を出張先で確認・変更、メールの送受信を大画面で行える。さらに、語学や専門分野の辞書、電子書籍などのコンテンツをmicroSDやインターネットからのダウンロードで提供する予定があるとのことである。このように、非常に幅広い用途があることで、新しい市場が創造できるとした。
続いて、シャープ パーソナルソリューション事業推進本部 副本部長 新井優司氏がNetWalkerの特徴を説明した。
NetWalkerは、新コンセプト"ケータイ Plus One"の商品として、「携帯電話の機動力」「パソコンの高機能性」「モバイルに最適な操作性」を目指して開発したもの。従来のスマートフォンユーザー、Netbookユーザー、電子辞書のユーザーに対してネット活用の進化したスタイルを提案するモバイルインターネットツールとして受け入れられることを考えていると語った。
「携帯電話の機動力」として、いつでもどこでもネットの世界を楽しめるよう、手のひらサイズというほぼA6サイズのコンパクトさを実現。さらに約409gの軽量化を果たし、上着のポケットに入れて持ち歩けるようにしている。日々の外出で気軽に持ち出して使えるサイズとなっている。さらに、移動中の待ち時間に、思いついたらすぐ使えるようにスリープ状態からの電源ONから約3秒で使えるクイック起動、出張などでも十分使える10時間もの長時間駆動を実現した。
「パソコンの高機能性」として、一般的なネットブックと同等の解像度を持つ高精細5型ワイド液晶(1,024×600ドット)を搭載。携帯電話では見づらいPCサイトを横スクロールなしで閲覧が可能となっている。キーボードはPCと同じQWERTY配列のフルキーボード。キーピッチが約14mmで、机の上で両手で入力したり、立ったまま親指で入力したりと、スタイルにあわせたキー入力が快適に行えるため、コミュニケーションツールとしても最適とのこと。
「モバイルに最適な操作性」として、直感的でスピーディーに操作できるタッチパネルを搭載。ファイルのドラッグ、ポインティングは画面を直接タッチすることでも操作できる。お気に入りのサイトをメニュー画面に登録しておけば、ワンタッチでアクセスが可能。さらに、ポインティングデバイスとしてオプティカルポイントをキーボード右上に搭載。ポインターの移動や画面のスクロール、拡大・縮小が右手の親指で行える。
ポインティングデバイスとしてキーボード右上にはオプティカルポイントを装備。指をスライドさせることで操作できる。右側面にはminiUSBコネクタ、microSDカードスロット、ACアダプターを持つ |
左側面にはUSB端子とヘッドホン出力を装備。最薄部は19.7mm |
実用ソフトでは、Microsoft Officeとの互換性が高いオフィス統合環境「OpenOffice.org」、Webブラウザ「Firefox」、メーラー「Thunderbird」のほか、グラフィック、スケジューラー、音楽/ビデオ再生ソフトなどを持つ。また、Ubuntuで提供されている豊富なフリーソフトの活用が可能となっているとした。
拡張性として、2つのUSB端子と無線LAN機能(IEEE802.11b/g)を内蔵。現在、キーボードやマウス、USBメモリ、各種ドライブなどのUSB接続機器のほか各種USB接続通信モジュールの検証を行っている。Bluetoothは非搭載だが、USBモジュールで対応する予定だ。
メニュー画面ではアイコンを表示。ダブルタッチすることでソフトが起動するほか、キーボード上にはブラウザーやメーラーが起動するクイックスタートボタンを用意している |
通信にはUSBタイプの通信モジュールを使用。イーモバイルやウィルコム、UQをはじめ、さまざまなモジュールを検証中 |
市場としては、ネットブック、電子辞書、携帯電話ユーザーが流れてくるため、規模は大きいと想定。3月末までの6カ月で10万台の販売を考えている。3G通信網には、USB通信モジュールで対応する予定。シャープではスマートフォンやノートPCも提供していて、「NetWalker」もその選択肢のひとつという位置づけになっているが、ネットブック、携帯電話の2台目、電子辞書の需要を1台でまかなえるため、期待を高く持っているようだ。