航空自由化が進む中、新興エアラインの動きが今、おもしろい。去る7月23日、物流大手・鈴与の完全子会社であるフジドリームエアラインズ(FDA)が運航を開始した。昨年6月に設立されたばかりのエアラインということを考えると、異例のスピード就航である。FDAは他にも、新興エアラインとしては異例な部分がいくつもある。
たとえば、これまで国内の新興エアラインは幹線(羽田発着の福岡、大阪、札幌など比較的主要の多い路線)を中心に運航していたが、FDAは静岡-小松、熊本、鹿児島の"地方路線"を運航する。また、新興エアラインの場合、使用機材はリースでのスタートが主流だが、「FDAは現在保有している2機もオーダー済みの1機もすべて新造機を購入。それは自社の本気度の現れ。石川、熊本、鹿児島、そして静岡県の各就航地の魅力をアピールしながら、地元の経済に貢献し成長していくビジネスにしたい」(フジドリームエアラインズ営業部・青山氏)と新しいコンセプトで意気込む。
7月の座席利用率は就航から31日までの9日間で平均50%前後だったが、「今は知名度も低いため想定内の数字。まずは、フジドリームエアラインズという存在を知ってもらうことが大切。マイレージサービスのようなポイント制のサービスも近い時期に発表する予定」(青山氏)で、まずはリピーターの確保を目指す。
航空業界だけでなく、社会全体が不況に陥っている中での就航で今後の苦戦も予想されるが、親会社・鈴与のバックアップを受けながら長い目で育てていき、事業として目処の立ったところで出資を募るなど地に足のついた事業理念を持っている。今後の飛躍に期待したい。