"スーパーシステム手帳"と呼べる「Visual Diary」!
今回ピックアップするテンプレートは、前回のファイルメーカー選手権で月間MVP(第8回)に輝いた「Visual Diary」(作者:川端兆盛さん)だ。審査委員長のコメントとして「パソコンやデータベースに不慣れなユーザーでも迷うことなく使ってもらえるようにと、さまざまな工夫を加えている」とあるが、実際には如何ほどのものなのか早速チェックしていくことにしよう。
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単なる日記ではなく、"日々の情報"を整理・管理することができる!
「Visual Diary」というテンプレートタイトルから、皆さんはどのような作品を想像しましたか?「単なる日記帳でしょ」、「ビジュアルライクに操作できる直感的な日記帳かしら」などと様々な印象を持たれたと思う。実際、私もテンプレートをダウンロードして起動した直後まで「多機能な日記帳」と言う程度の印象しか持っていなかった。まずは、基本的な機能を紹介していくことにしよう。
まずお気付きになるかと思うが、非常にシンプルでありながら必要な情報を俯瞰してみることができるレイアウトになっている点に注目したい。[カレンダー]や[今日の日付]、[予定表]や[イベントメモ]に[日記]と、必要な要素が美しく配置されているほか、画面右上に各種設定ボタンを集合配置させるなど、パッケージソフトウェアのようなIA(インフォメーション・アーキテクチャ)を実現している。
そして、デザインの美しさだけに止まらず、筆者が「これは!」と感じさせられたのが、使い始めるにあたってマニュアルを読まないでも、まんべんなく機能を使いこなせるユーザビリティの高さだ。ひと目見て意味の通じるアイコン、マウスのカーソルをアイコン上に乗せると表示される説明、よく判らないままクリックしても画面遷移後に何を意味していたのかがハッキリと理解できる。加えて、画面遷移後に表示されるウィンドウには「画面の左上に[Home]ボタンが必ずある」といった一貫性のあるルールが適用されているため、パソコンに不慣れな人であってもすぐに使い馴染むことができるのだ。
環境設定画面もご覧の通り。内容の充実ぶりはもちろん、ユーザー視点に立ったデザイン設計がなされているため非常に見やすい。また、各種画面へ遷移した際に必ず画面左上に[Home]ボタンが表示されるという一貫したルールは地味ながらも使い勝手の向上に大きく寄与する |
機能的にも、さすがは月間MVPを獲得しただけあり「Visual Diary」は抜け目がない。自由に日記を書くことができる[Diary]、記念日や誕生日などを書き留めることができる[What's Today]、その日一日の予定を要件と時間、あわせて書き留めることのできる[Schedule]、カウントダウン機能が便利な[Event Memo]と、単なる日記帳ではなく総合的なスケジューラーとしての側面もあわせ持っている。加えて特筆すべき点は、写真や動画もこのテンプレートひとつで管理できてしまうということ。
作者の川端兆盛さんはマニュアルPDFファイルにて「"Visual Diary"のスケジュール管理機能(Schedule/Event Memo)や写真管理機能などはあくまで過去にどのような事があったかなど、日記上のメモまたは備忘録として残す程度のつもりで作りました。細かなスケジュール管理をしたい場合は「iCal」、また写真をきちんと管理したい場合は「iPhoto」など併用されることをお勧めします」と書いておられるが、ひとつのソフトウェアで様々な情報・データを一元管理することができるのは賞賛に値するのではないだろうか。
カレンダーの下にある[今日のお天気]ボタンをクリックするとこのように表示される。季節柄、小学生の宿題の「夏休みの日記」的に感じてしまうが、自らが天気を入力することによって記憶を整理できるのは面白い試みだ |
[What's Today]と[Event Memo]の欄にある地球を模したアイコンは、Webサービス「ウィキペディア」と関連付けられ「Visual Diary」と連動している。こういったテクニックは是非参考にしてもらいたい |
昨今話題の"整理術"にも通ずるテンプレートと言えるだろう
使っているうちに感じたのが、先にも述べた「多機能な日記帳」というものから、様々な情報・データを整理する「整理術テンプレート」としての利用方法があるのでは、という思いだ。FileMakerが持つデータベースとしての機能を活用しているのはもちろん、このテンプレートを活用すれば、日々の記憶をデータとして記録しておくことが可能だ。日記で書き込んだ雑感などの文字データは当然のことながら、その日撮影した写真や動画をも手軽に管理・閲覧することができる「Visual Diary」は、今巷で話題の"整理術"を実践するためのツールと呼ぶにふさわしいだろう。
これからファイルメーカー選手権にチャレンジしてみよう、巷で話題の"整理術"をより実践的なものへ昇華させるテンプレートを作ってみようと思われた方は、この「Visual Diary」をひとつの教本として捉え、IAやUIの一貫性を参考にしつつ、自分自身のアイディアを盛り込んでオリジナリティ溢れる作品創りに挑戦してもらいたい。