長引く不況が厳しいが、ロボットへの「夢」は負けない!

さておき、現在の長引く不況はロボット開発にとっても深刻な問題だ。ホンダの「ASIMO」とともに、2000年代初頭のロボット業界を引っ張っていたソニーの「AIBO」と「QRIO」が、同社の事業再編に伴い2006年に開発中止となったのはショックだった。その後、特に最近になって撤退や縮小を余儀なくされた製品・プロジェクトも多い。

そうした状況を受けて、すでに発売されているロボット関連製品も、一般家庭向けから教育用へとターゲットのシフトが進んでいるとも聞く。ロボットはエレクトロニクス、メカトロニクス、ソフトウェアなどさまざまな分野の統合システムであり、教材としては最高だろう。学生獲得のため、大学でもロボット開発を謳う学科は増えている。教育分野へ積極的にロボットが活かされることで、次世代のロボット業界を担う人材も数多く生まれてくると、ここは前向きに考えたい。

ロボット業界の強み、そして希望は、そんな厳しい状況にあっても、本当にロボットが好きな人たちが、子どもの頃からの夢の実現のため、というモチベーションで動いていることだろう。残念ながら、ロボットがすぐにも家庭に入ってくるような状況とはまだ言えないだろうが、そうした人達の力で、たとえ歩みはゆっくりでもロボットの技術が着実に進歩していくことは間違いない。

思えばインターネットと携帯電話が普及したのも、せいぜいこの10年ほどのこと。Appleがかつて展開した「Newton」をはじめ、シャープの「ZAURUS」、「Palm」など手帳をモデルとしたPDAは多数発売されたが、広く一般に普及するところまでいかなかったが、今、人々が普通に持っている携帯電話は実質的にはかつてのPDA以上の機能を持っている。スマートフォンもなかなか日本では普及しなかったが、「iPhone」はエンタテイメントの力で一気にユーザー層を拡大した。同じように、技術の切磋琢磨の中で、いつか突然のブレイクスルーを果たすロボットが登場することに期待したいと思う。

2009年11月25日~28日には「2009 国際ロボット展」も東京ビッグサイトで開催される。1年おきに開催されている展示会なので、ここ2年間の最新の研究成果も公開されることだろう。家庭用ロボットの分野でも新しい可能性の芽が出てくれば、と今から楽しみに待ちたい。