2010年の商用LTEサービス開始に向けた準備が米国で着実に進みつつあるようだ。米国携帯キャリア最大手の米Verizon Wirelessは8月14日(現地時間)、ボストンとシアトルの2都市で実施していたLTE(Long Term Evolution)の最初のフィールドテストが成功したことを発表した。LTEは現行世代の3G携帯ネットワークの後継となる4G技術の有力候補だが、Verizonの掲げる2010年に最大30都市、2013年までに全米拡大という計画達成にまた一歩近付いたことになる。
LTEは3Gネットワークで業界標準となっている3GPP Release 8(UMTS)がベースとなった規格であり、世代的にはW-CDMA技術の後継にあたる。Verizon WirelessではこのLTEセルネットワークをボストンとシアトルに構築し、ファイルアップロードやダウンロードなど、データ通信のテストに成功したという。またLTEネットワーク越しでのVoIP通信にも成功している。今回の実験ではインフラ展開におけるパートナーのメーカーらが提供する機器テストも兼ねており、無線ネットワークアクセス部分にはAlcatel-Lucent(ボストン)とEricsson(シアトル)の機器が、デバイス端末にはLGとSamsungの製品が、そしてネットワークインフラ部分にはStarent NetworksとNokia Siemens Networksの製品が採用されている。このほかデバイス端末供給には前述2社に加え、ST-Ericsson、Motorola、Qualcommも加わる予定だ。
また今回の実験では、700MHzの周波数帯が利用されている。この700MHzの周波数帯はTV電波のデジタル放送移行で空いたUHF帯を利用したもので、米連邦通信委員会(FCC)が実施した周波数オークションにGoogleが参加したことで世界的に注目された。目玉となっていた700MHz帯のCブロックを最終的に落札したのはVerizon Wirelessであり、同社は4Gインフラ構築に同帯域を利用すると表明している。Cブロック落札者にはオープンアクセスの義務が課せられており、構築したインフラを他社に解放しなければいけない。つまり、この帯域を使ったLTEの4GサービスではVerizonが端末やサービスの縛りをつけることはできず、来年以降の比較的早い段階で各社各様の同ネットワークを使ったさまざまなサービスや製品が登場する可能性がある。