8月22日より、短編アニメ映画『センコロール』が池袋テアトルダイヤ、テアトル梅田にて公開される。『センコロール』はマンガ家としても実績を持つ若手クリエイターの宇木達也氏が監督としてだけでなく、脚本・原画・動画・仕上げ(彩色)・美術(背景)に至るまで、約2年半の歳月をかけて、ほぼひとりで作り上げた30分の作品。清潔感のある人物たちと、グロかわいいモンスターたちが織り成すストーリーは、強引に縮めて言うならば「青春マイペース系モンスターアクションアニメ」……といったテイストの意欲作となっている。なお本作は、東京都のアニメ産業振興策「動画革命東京」の第1期支援作品であり、今回のメジャーデビューにあたってはアニプレックスがプロデュースを行っている。
■アニメ『センコロール』ストーリー概要
平凡な町のビルのてっぺんに突如出現した巨大モンスター。自衛隊が出動し、町中が騒然とする中、少女《ユキ》は同じ学校に通う少年《テツ》の秘密を偶然知ってしまう。彼はそのモンスターと良く似た奇妙な生物《センコ》をペットのように飼っていたのだ。持ち前の度胸と好奇心で、テツとセンコの関係に興味を抱くユキ。そこへ巨大モンスターを操る謎の少年が現れ、いきなり戦いが勃発する。彼らは、何のために戦うのか? 彼らの正体は? そして戦いに巻き込まれるユキの運命は?
宇木監督自身、動画作業に一番手間がかかったと語っているだけあって、3DCGに頼らず手描きにこだわった『センコロール』の絵作りは「描いた絵が動く」というアニメーションの根源的な快感を存分に感じさせてくれるものとなっている。音楽は、初音ミクの楽曲「メルト」「ワールドイズマイン」などで注目を集める旬のユニット「supercell」のryo氏が担当。キャストには、ユキ役に花澤香菜、テツ役に下野紘といった若手実力派声優が参加。ビジュアルが目を引く本作に別の角度から厚みを加えている。
食べた物体に変化できる「センコ」のダイナミックなメタモルフォーゼ描写や、夏の日のけだるい日常と巨大なモンスターという非日常が同居する独特の雰囲気などは、見どころ十分。その一方で絵コンテや撮影、色彩設計など、集団で行われるアニメーション制作を個人で行ってしまったがために、ノウハウの不足する部分が見え隠れするのは、課題が残る点だろう。大きな物語の一部分が30分に切り取られているという印象もあるだけに、続編などの形による今後の宇木達也ワールドの広がりに大いに期待したいところである。
『センコロール』は8月22日により池袋テアトルダイヤ(東京)、テアトル梅田(大阪)にて公開開始。
物語の中心となる高校生のユキ。センコの擬態を偶然にも見破ってしまった彼女は、センコに物怖じするどころか興味津々? |
テンション低めな高校生のテツはセンコの飼い主。部外者だったユキにセンコを見られ、彼女に付きまとわれることに |
センコとは別のモンスターを操るシュウ。モンスター同士の奔放かつダイナミックな戦いは、やがて町を巻き込んでしまう |
一般人代表(?)として登場する、ユキの友人ケイ。ケイの預かり知らぬところで異常な事態は進行してゆく…… |
(C)宇木敦哉/アニプレックス |