日系航空会社2社が、10月から国際線を中心に運休・減便を決めた。
日本航空(以下、JAL)が8月7日に発表した「2009年度下期の路線便数計画」によると、10月25日より中部発着のパリ線と仁川線の各週7便を運休。また、成田発着の広州路線を現行の14便から7便、仁川路線を28便から21便、デリー路線を7便から3便、羽田発着の香港路線を7便から3便に減便するなど、国際線の合計8路線週43便と国内線6路線の計1日6便の減便を行う。
同様に、全日空(以下、ANA)も10月25日より成田発着の上海路線を現行の1日3便から2便に減便。国内線では、10月1日から大島 - 八丈島線を廃止するほか、11月1日からは関西と松山、高知、鹿児島路線など8路線を廃止し、その他2路線が減便となる。
日系航空2社では、昨秋以降円高や燃油サーチャージの引き下げや廃止により、国際線を中心に一時は回復が見られたものの、今春からの新型インフルエンザの世界的流行により予約のキャンセルが相次ぐなど再度苦戦が強いられた状況にある。関係者は「運休・減便は採算が取れないと判断して決めた。今後、需要が見込まれる場合には復活という可能性もあるが、一度運休・減便したものを再開させるのは容易ではない」(JAL広報部)と、今回の措置は一時的ではないことを明かした。
さらに、7月発券分から廃止となっていた燃油サーチャージだが、燃油価格が再び高騰し始めたことにより、10月発券分からは再度徴収される予定で、利用者の需要喚起には再びマイナス要素となることは必至。「燃油サーチャージによってまた航空券代の割高感が生じてしまい、さらに需要に低下した場合にはさらなる運休・減便の検討ももちろんあり得る」と話した。
こうした中、2社では運休・減便のみならず、サービス内容の刷新にも着手する。JALでは、成田 - シカゴ線、ロサンゼルス線にB777 - 300ER型機を導入し、"JALスイート"や"JALシェルフラットネオ"、"プレミアムエコノミー"を設置し、座席単価の高い"プレミアム・サービス"戦略を推し進め収益力を強化したい構えだ。一方、ANAでは国際線のビジネスクラスや国内線の上位クラスで提供している食事や飲料をエコノミークラスで有料販売するサービスを大手航空会社として初めて開始し、サービスの柔軟化により旅客の選択肢を増やし、新たな収益確保を目指す。