写真表現に関しては、シャッタースピード優先AEの搭載が目を見張る。被写体をピタリと止めて撮りたいとき、また流し撮りなどで威力を発揮。コンパクトカメラとはいえ、デジタル一眼レフに迫る柔軟な撮影が可能になった。最短撮影距離約1cmのマクロモードは新方式を採用。レンズ群の一部を近接撮影専用位置に移動し、マクロ撮影時の像面湾曲を抑えている。

SCENEモードには新たにダイナミックレンジダブルショットが加わった。これはリコー「CX1」で初採用された機能で、1回の撮影で露出の異なる2枚の写真を撮り、適正露出エリアを合成してダイナミックレンジを最大12EV相当に拡大。撮影時は要三脚となるが、通常であれば白飛び・黒つぶれするエリアまでしっかりと写し込める。いわゆるHDR的な撮影機能だ。「+通常撮影」を有効にしておけば、ワンショットでダイナミックレンジダブルショットと通常写真の同時撮影が可能だ。また、マルチパターンAUTOホワイトバランスを搭載し、ミックス光源下で最適なホワイトバランスが得られるようになった。

ダイナミックレンジダブルショットは、「弱」「中」「強」から効き具合が選択できる

色相と彩度を5系統で調整可能。あえて色飽和を狙い、トイカメラ的な画作りもおもしろいだろう

画質設定では新たにビビッドモードが搭載された。作例を見てもらうとわかるが、GR DIGITAL IIIのスタンダードモードはややあっさりとした色合いになっている。初代GR DIGITALの鮮やかな色合いが好きな人は、このビビッドモードを選ぶとよいだろう。また、彩度、コントラスト、シャープネスを調整し、最大2つまで登録可能。個別色設定を呼び出せば、オレンジ、グリーンといった5系統のカラーにつき、それぞれ色相と彩度を個別調節できる。この他、モノクロ、TE、1:1モードなど、GR DIGITAL IIが搭載していた機能はそのまま引き継いでいる。…つづきを読む

通常撮影(左)は背景の空が飛び気味だが、ダイナミックレンジダブルショット(右)は雲の様子を残しつつ、高架のシャドウ部も明るくなっている。ハイライトからシャドウまで、全域にわたってバランスよく撮れる

上段左から順にビビッド、スタンダード、下段左からモノクロ、TE:セピアで撮影したカットだ。新設されたビビッドは、初代GR DIGITALに似た鮮やかな発色が楽しめる

上段左から順にISO 64/100/200、下段左から順にISO 400/800/1600で撮影。ノイズリダクションをオフにした状態で、ISO感度を変えながら撮影した。ピクセル等倍で見ると、ISO100で輝度ノイズがあらわれるものの、ISO400あたりまで偽色がほとんど感じられない。高感度タイプCCD搭載の成果をかいま見ることができる