艶やかな和服姿で華を添えた福田沙紀

直木賞作家・山本兼一の歴史小説を映画化した『火天の城』(田中光敏監督)の完成披露記者会見が、5日、都内のホテルで行われ、西田敏行、福田沙紀、椎名桔平、大竹しのぶら出演者が登壇した。

戦国時代、織田信長の厳命を受けて安土城築城に挑む宮大工・岡部又右衛門(西田)らに焦点を当てた本作。登壇者全員が涼しげな和装で登場し、「素晴らしい作品ができあがったと自負しております。絶対に映画館で見ていただかなければならないとの気持ちで、私はここにおります」と主演の西田が挨拶した。

又右衛門の妻役の大竹は、「旦那さんが気持ちよく仕事できるように家を守っていく役で、そういう役をいただくと精神的にも穏やかになるし、楽しい撮影になりました」。福田は本作の撮影と安土城の築城の共通点を、「ひとりも欠けてはいけないというのが、どちらにも重なる部分。映画を見てエンドロールでひとりひとりの名前を見ながら、言葉にならず涙だけが溢れてきました。『この作品に関われてよかった』という私の思いと同じものが、お城造りに関わった人たちもあったんだろうと思います」と語った。

西田敏行は「死と隣り合わせの時代を生きた人々の、命のきらめきを自分の体で表現したい…戦国時代にあるまじき体型ですが(笑)」

又右衛門の妻・田鶴役の大竹しのぶ。「長くこのお仕事をしているけど京都の撮影所は初めてで、デビュー当時を思い出しました」

又右衛門(西田)の娘・凛役の福田沙紀。「お城を造るお父さんへの思いと、映画で監督や西田さんについていく思いが重なりました」

寺島進は岡部一門の若頭・平次役。「ヒットしてほしいですね。東映の映画がヒットしないと日本映画界のバランスが悪くなるので…」

次長課長・河本が演じたのは羽柴秀吉。「大ヒット請負人としてやって来ました。一番面白い秀吉になったと思います」と自信満々だが

織田信長役の椎名桔平。「安土城を造ることにどんな野望があったのか、じつは孤独だったのではないか…と考えながら演じました」

次長課長の河本準一は、「ひとりひとり集まれば、人の力であれだけの城ができるんだということを、現代の草食系男子にぜひ伝えたい」と主張。これを受けて報道陣からは、「ご自身は『草食系』『肉食系』のどちらと思うか?」との質問が。「肉食です」(西田)、「私も肉食かな。でも野菜も好きです」(大竹)、との答えが出る中、福田は田中監督に「肉食でしょ?」と囁かれ、「肉食みたいです(笑)」。

一方、「草食・肉食って食事のことを言ってるんですか? 『草食系』ってのがよくわからなくて」と椎名が言えば、寺島からは「自分は『~系』ってのが大嫌いなので」と本音が。残る河本はウケを狙ったのか、「雑食です。……これが言いたかったんです(笑)」とコメントするも、会場は大爆笑とまではいかず。狙いが外れた河本は少し寂しそうだった。

映画『火天の城』は、9月12日より全国ロードショー。

1575年(天正3年)、長篠の戦いで甲斐の武田勢を破った織田信長(椎名桔平)は、翌年その天下統一事業を象徴するかのごとき巨城を、琵琶湖を臨む安土の地に建築することを決意。今川義元との戦以来、十数年に渡って才気を評価してきた熱田の宮大工・岡部又右衛門(西田敏行)を総棟梁に任命する。「安土の山をまるごとひとつ、三年で城にせよ」

(C)2009「火天の城」製作委員会