Microsoft Researchなどによる研究活動
続いて、加治佐氏は、Microsoft Researchや社外との連携による研究活動の結果について触れた。
Microsoft Researchの結果として強調されたのが「SensorMap」だ。Microsoftは、天候や雨量、交通量などを測定するセンサーを都市のあちこちに設置しており、SensorMapでは、そのデータを地図上から確認することができる。Microsoftが設置しているセンサーの1つに温度センサーもあり、各地の現在の気温をビジュアルな画面から把握することが可能。データが蓄積されれば、温暖化が起きているかどうかも定量的に観測できる。
また、SensorMapで使われているものと同じセンサーを使ってデータセンター内の温度や湿度を可視化する取り組みも行われている。「センサーはマウスよりも一回り小さいサイズ」(加治佐氏)と言い、各ラック数箇所に設置することで、熱が溜まっている部分を可視化できるようになる。
そのほか、ネットブック向けのIntel製CPU「ATOM 330」を活用した低消費電力のデータセンターを開設していることや、早稲田大学 創造理工学部 富樫英介博士による建築設備システムのライフサイクルシミュレーションがマイクロソフト イノベーションセンターにおいて行われており、本当に効率の高い空調設備設置方法や一部の設備が故障した際の影響などを調査していることも発表された。
"工夫"で対応する環境保全活動
「環境に対する責任ある企業活動」という点については、マイクロソフト 政策企画本部の竹原正篤氏が説明した。
その中では、「Climate Savers Computing Initiative」、「Green Grid」、「Green IT 推進協議会」などに積極的に参加していることや、世界の40都市の温暖化対策支援でクリントン財団と協働していることなどが紹介されたが、特に強調されたのが、次の3点である。
- Digital by Choice
- MAR(Microsoft Authorized Refurbisher)プログラム
- 社内Go Green運動
これらのうち、Digital by Choiceは、ボリュームライセンス契約者に対するインストーラの配布方法をCD/DVD配送からダウンロードに移行していこうというもの。2009年度(2008年7月~2009年6月)の実績を前年度と比較すると、108万枚配布していたものを35万枚にまで削減している。その効果はCO2換算で27tに上り、樹齢80年の杉の木1900本が年間に吸収するCO2量に相当するという。
また、MARプログラムに関しては、中古情報機器協会(RITEA)と連携した取り組みで、マイクロソフトが再生PC事業者にWindows OSのセカンダリライセンスを提供し、廃棄PCを減少させようというもの。ユーザーが安価なPCを安心して利用できるというメリットがあり、こちらの普及にも力を入れている。
そして、社内Go Green運動では、個人でもできる細かな環境保全活動を全社レベルで推進しており、具体的に実施したものとして、「PCのスリープ/休止モード利用促進」、「スクリーセーバブランク設定」、「ゴミ分別を促す情報発信」、「会議室やオフィスエリアの標準空調温度設定」、「複合機のパワーセーブ設定変更」などが紹介された。
最後に竹原氏は、2010年度の方針として、今年10月に開設される「マイクロソフト 大手町 テクノロジー センター」を活用して環境/グリーンITソリューションを提案していくことや、グリーンIT分野における産学連携の加速、社内の環境保護活動の一層の加速、などを挙げ、さらなる成果達成に向けて努力していくことを約束した。