マイクロソフトは7月28日、同社の環境に対する取り組みについて発表した。本稿ではその内容をお伝えしよう。
マイクロソフト 最高技術責任者 加治佐俊一氏 |
マイクロソフトでは、「Green of IT: ソフトウェアによる直接的なエネルギー削減」と「Green by IT: ソフトウェアによるイノベーション」の両面から環境保全活動を展開しており、具体的な活動の柱として、次の3つを掲げている。
- ITを活用したエネルギー効率の向上
- 技術的進歩の礎となる研究開発
- 環境に対する責任ある企業活動
以下、順に紹介していく。
エネルギー効率向上に向けた技術
1つ目の「ITを活用したエネルギー効率の向上」に関しては、マイクロソフト 最高技術責任者の加治佐俊一氏が説明した。
氏は最初に「IT機器の消費電力量は2025年までに現在の約5.2倍に増加する」という試算データを紹介。そのうえで、ソフトウェアの面からエネルギー効率向上に寄与する取り組みを続けていることを説明した。
過去の実績値としては、「Windows Vistaでハイブリッドスリープ機能を搭載したことによりPC1台当たり年間約760KWhの電力消費量を削減(CO2排出量に換算すると0.5トン)」、「Windows Server 2008の省エネルギー設計により前バージョン比約10%の電力消費量削減」などが挙げられた。また、新潟ポリマーが、Hyper-Vによるサーバー集約で80%以上の電力消費量を削減したという事例や、「Partner Sales Resources」というWebサイトでエネルギー削減率を可視化するツールを無償提供しているなどの取り組みも紹介された。
次期Windows / Windows Serverの省エネ機能
さらに、加治佐氏は、今秋リリースされる「Windows 7」「Windows Server 2008 R2」における省エネ機能についても言及した。
Windows 7では、Windows Vistaに引き続き、「使う必要がないものをいかに効率的に休眠させるか」といったテーマの下に開発が進められており、スリープ機能の改善に力が入れられているという。また、電源効率を診断するレポート機能も搭載したうえ、通常利用時の電力効率も改善し、「DVD再生時のバッテリー持続時間がWindows Vista SP1に比べ10%以上向上している」(加治佐氏)。
一方、Windows Server 2008 R2では、論理コアのワークロードをトラッキングし、使用していないコアをスリープさせる「Core Parking」機能を追加。待機中にも消費される無駄な電力を削減する工夫が施されている。
さまざまな形態のデータセンターを運用中
加治佐氏は、以上のようなGreen of ITの側面に加えて、自社のグリーンIT化事例もいくつか紹介した。
最初に触れたのは、米国ワシントン州クインシーに開設されたデータセンター。同データセンターでは、すべての電力を水力発電で賄うカーボンニュートラルな施設になっているという。また、サンタフェのデータセンターでは飲料用に浄化できない水を冷却システムに使用し、水と電力の両面で効率化を実現。さらに、2009年夏にアイルランドのダブリンに開設予定のデータセンターでは、外気を利用した冷却装置や再生可能エネルギーの活用により、50%のエネルギー削減を実現している。
加えて、「CBlox」と呼ばれる移動可能なコンテナ型データセンターの試作も行っており、2008年秋からシカゴで稼働させている。コンテナを寒冷地で使用することで冷却効率が高まるほか、空調設備の電力は風力発電で供給する設計になっている。1コンテナあたり、10ペタバイトを格納できる。