自分が愛情を持って表現できるのはパンク

宮藤官九郎
1970年生まれ。1991年より「大人計画」に参加。脚本家、構成作家、俳優、映画監督、演出家など多岐に渡り活躍。パンクコントバンド「グループ魂」では暴動名義で活動。2005年にはNHK紅白歌合戦出場歌手となる。脚本家としての主な作品に映画『GO』(2001年)、『木更津キャッツアイ ワールドシリーズ』(2006年)、『舞妓 Haaaan!!!』(2007年)、テレビドラマに『タイガー&ドラゴン』(TBS系 2005年)、『未来講師めぐる』(2008年、テレビ朝日系)、『流星の絆』(2008年、TBS系)など多数。映画監督作品に『真夜中の弥次さん喜多さん』(2005年)、『少年メリケンサック』(2009年)。最新脚本作品に『鈍獣』、『なくもんか』(共に2009年)など。9月18日より東京(シアタートラム)、大阪(OBP円形ホール)、北九州(芸術劇場)で上演の舞台『サッちゃんの明日』(作・演出/松尾スズキ)に出演。構成・演出を手掛けた、歌謡バラエティーショー「あべ一座」が8月7日(金)20:00~21:30(BS-hi)、8月29日(土)21:00~22:30(BS2)に放送

人気脚本家、俳優、構成作家、演出家など多岐に渡り活躍する宮藤官九郎。彼の映画監督作品2作目となる『少年メリケンサック』のDVDがリリースされる。パンクロックをテーマにしたこの作品を中心に、宮藤官九郎に様々な話を訊いた。

――『少年メリケンサック』は宮藤さんの映画監督2作目となります。前作の『真夜中の弥次さん喜多さん』からは4年の間がありますね。

宮藤官九郎(以下、宮藤)「監督2作目はオリジナル作品をやりたいというのがあったんです。でも、思うように突き抜けた企画が思い浮かばず、映画監督は1本やってみたら本当に大変で、"こんな大変なら好きな物やりたい"という気持ちがあったんです。だから時間が4年近くかかったんですね」

――この物語にたどり着いたきっかけは何なのでしょうか?

宮藤「色々なバンドの再結成を追ったドキュメントDVDを観ていたんです。20歳そこそこなら出来ていた事が40代では出来ないって当然ありますよね。そしたら、機材車で寝泊りして全国ツアーする中年パンクバンドの絵が頭に浮かんだんです。それが始まりですね」

――パンクロックという題材にも驚きました。

宮藤「自分が愛情を持って表現できる音楽はパンクなので、パンクは何かという部分まで戻って考えました。パンクの人たちが年をとって、また現在も音楽をやらなければならないとしたら、大変ですよね。社会も、音楽事情も変化してるし、身体も昔とは変わっているし……。それで、『色々やってみたけど、俺たちにはパンクしかなかった!』みたいな話がいいと思ったんです」

少年メリケンサック

レコード会社の宣伝マン 栗田かんな(宮崎あおい)はネットで偶然見つけた若手パンクバンド「少年メリケンサック」を担当することになる。少年メリケンサックのライブツアーを実現させるために奔走するかんなだが、ネットの映像は20年以上も過去のもので、現在のバンドメンバーは、まともな演奏もできない中年男たちだった。カンナとバンドのメンバーは奇跡を起すことができるのだろうか?
(C)2009「少年メリケンサック」製作委員会

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