自分が愛情を持って表現できるのはパンク
人気脚本家、俳優、構成作家、演出家など多岐に渡り活躍する宮藤官九郎。彼の映画監督作品2作目となる『少年メリケンサック』のDVDがリリースされる。パンクロックをテーマにしたこの作品を中心に、宮藤官九郎に様々な話を訊いた。
――『少年メリケンサック』は宮藤さんの映画監督2作目となります。前作の『真夜中の弥次さん喜多さん』からは4年の間がありますね。
宮藤官九郎(以下、宮藤)「監督2作目はオリジナル作品をやりたいというのがあったんです。でも、思うように突き抜けた企画が思い浮かばず、映画監督は1本やってみたら本当に大変で、"こんな大変なら好きな物やりたい"という気持ちがあったんです。だから時間が4年近くかかったんですね」
――この物語にたどり着いたきっかけは何なのでしょうか?
宮藤「色々なバンドの再結成を追ったドキュメントDVDを観ていたんです。20歳そこそこなら出来ていた事が40代では出来ないって当然ありますよね。そしたら、機材車で寝泊りして全国ツアーする中年パンクバンドの絵が頭に浮かんだんです。それが始まりですね」
――パンクロックという題材にも驚きました。
宮藤「自分が愛情を持って表現できる音楽はパンクなので、パンクは何かという部分まで戻って考えました。パンクの人たちが年をとって、また現在も音楽をやらなければならないとしたら、大変ですよね。社会も、音楽事情も変化してるし、身体も昔とは変わっているし……。それで、『色々やってみたけど、俺たちにはパンクしかなかった!』みたいな話がいいと思ったんです」