今回の取材では、新潟青陵大学キャンパス内のビルの1つにあるセミナールームで開催されたビデオ会議に途中参加する形でお邪魔した。長々と説明するより、まずは会議風景をご覧いただくのが早いだろう。

会議の参加者らがカメラや中継装置の取り付けられた大画面TV前に集まり、多地点を結んだビデオ会議を実施している。今回の会議は新潟県内の大学同士が集まって、あらかじめ提示された事案に関する確認や意見交換を中心としたもので、参加メンバーは新潟青陵を含む全9校と比較的大規模な会議となっている。

ビデオ会議システムを使った遠隔地同士を結んだ会議風景。今回の会議では全9拠点が同時に参加している

司会進行を行うのは今回のシステム発案者でもある新潟青陵大学 事務局 経営企画課 課長 古山智規氏。TVには発言の中心となる拠点の様子が中心に大きく映し出され、それ以外の拠点の様子が小さく左右の外枠に表示される。司会進行が新潟青陵のため、会議中のほとんどは新潟青陵自身の中継がTV中央部に映し出される形となるが、他校に発言の順番がまわると、適時画面を切り替えて当該の拠点の様子を中央部に出現させる。2拠点や3拠点といった小規模であればざっくばらんな会議も可能だが、9校もの規模になるとこのような形での司会進行を交えた正式なスタイルでの運用が必要になると思われる。

システムの構成は、多地点間接続を可能にし、回線を収容する親とも呼べる装置(Tandberg Codian)が新潟青陵内にあるデータセンターに配置され、他の拠点に設置されたビデオ会議システムの仲介を行っている。ここにぶら下がる形で、新潟青陵を含む新潟県内の計9大学に配置されたビデオ会議システムが動作している。中継装置はビデオ会議の接続制御だけでなく、録画記録なども行っている。ここで記録したデータは外部から閲覧可能な形にすることで、後々議事録などの形で閲覧することも可能だ。

ビデオ会議システムの端末側に目を向けると、こちらは米LifeSizeが提供するシステムが個々の大学に納入されている。新潟青陵が導入したのは「Room」と呼ばれるもので、780pのフルHD通信に対応し、2面モニタによる中継装置なしでの6拠点同時会議が可能になっている。新潟青陵の場合、システム構成はRoomの本体に加え、プラズマTV、同TV上に配置されたカメラ、円盤型の集音マイク、リモコンとなる。リモコンは本体から離れていてもビデオ会議システムの制御を可能とするもので、今回は司会の古山氏の手元に置かれていた。

会議ではそのほか、議事録をまとめる書記に加え、手元のPCで会議の接続を管理するPCを操作する人物が待機していた。PCはLAN経由で大学校内のデータセンターへと接続されており、ここから「EZ会議」と呼ばれる会議予約/接続制御アプリケーションを介してCodianへと接続されている。このEZ会議では会議予約のほか、遠隔地の拠点に対して会議の招集を行うことも可能で、時間がきたら自動的に遠隔地にあるビデオ会議システムを起動して会議を開始することができる。

テレビ画面部分を拡大したところ。中心部に大きく映っているのが現在発言を行っている拠点。この場合は司会進行を行っている新潟青陵大学

拠点の移動や画面の制御はリモコンを使って行う。手動以外に、発言を行った拠点に自動的にフォーカスして画面を拡大する機能もある(ここでは新潟青陵が質問のために言葉を発したため、一時的に右下で画面が拡大されている)

2 - 4拠点程度であれば同時に発言しても大きく混乱しないが、今回のように8 - 9拠点の規模になると司会進行がないと会議が混沌としてしまう。適時、拠点を指名して、発言権を切り替えていくテクニックも必要

ビデオ会議システムに使用するマイク。円盤状の筐体に複数のマイクが配置されており、参加者の中央部に配置することで周囲の音声を強弱なく拾うことが可能

ビデオ会議開催中にシステム操作を行うリモコン。司会進行役の手元に置かれる

大画面プラズマTVの背面に配置された会議システムの本体。パーツは本体のほか、カメラやネットワーク機器などから構成され、それぞれは市販の普通のラックを利用して1つにまとめられている。新潟青陵が導入したのは米LifeSizeのRoomというシリーズで、780pのフルHDに対応するほか、入出力系統の数が他の下位モデルと比較して多い

会議中の進行や制御はリモコンを利用するが、会議予約や最初の接続制御は新潟青陵のデータセンターに配置された中継システム「Codian」を通して行われる。写真のノートPCはCodianにWebブラウザ経由で接続して制御を行っているところで、さらにそのインタフェースにはLifeSizeの日本代理店を行っている日立ハイテクノロジーズが開発した「EZ会議」を利用している