富士通は1日、情報オリンピック日本委員会と共同で、もの作りや技術の楽しさを学べる小学生向けイベント「富士通キッズイベント2009 夢をかたちにするしくみ」を開催した。
毎年夏に開かれ、今年で3回目となるこのイベント。子どもの理数離れが懸念される中、子どもたちに「技術のおもしろさ」「技術の持つ可能性」を伝え、技術への興味を育むことを目的としている。対象は小学4年生から6年生となっていて、全3回、各回30名がイベントに参加した。
イベントは2部構成で、第1部は「楽しみながらコンピュータのしくみを学ぼう!」、第2部は「富士通の技術を探検しよう!」。第1部は、さらに(1)「データの間違いを手品で見つけよう」、(2)「宝探しをしながらコンピュータの気持ちを体験しよう!」に分かれ、遊び感覚でコンピュータの基礎原理を学べるようになっていた。
情報オリンピック日本委員会 理事長で、早稲田大学教授の守屋悦朗氏は、今回のイベントについて、コンピュータ科学の原理となる基礎知識を、コンピュータを使用せずに学べるように工夫したものと説明。教わるのではなく、自分で見つけ出すことを重視しているとした。小学4年生~6年生ということで、難しいところがあったかもしれないという反面、楽しみながら学ぶことで、今は十分理解できなくても学習=楽しいという思いが残り、それが今後の学習意欲に結びついてくるという。情報オリンピック日本委員会は、情報オリンピックの日本代表選手も選考している。今後、このようなイベントを通じて、情報オリンピック日本代表選手が育っていくことも期待していた。
第1部「楽しみながらコンピュータのしくみを学ぼう!」
(1)「データの間違いを手品で見つけよう」では、秦野総合高校の間辺教諭が中心となって、パリティビットについて学習。
その内容は、表と裏が白と黒になっている紙を使って、5行×5列に並べ、どれか1枚だけを反転。どれが反転したかを当てるというものだ。実際は6行目、6列目を追加し、それがパリティとなっている。このように、5行×5列を6行×6行にすることで、1枚だけが変わっているなら、間違いを見つけられるだけでなく、修正して元に戻せることを、自分の力で見つけ出すことで、楽しみながらコンピュータの基礎知識を学んだ。複数回行われ、最初は1人の子どもしか理解できなかったが、3回を超えるようになると、半数の子どもたちが理解できるようになっていた。続いて、各班に分かれて楽しんだあと、通信衛星や携帯電話などでこの技術が使われていることを説明した。
(2)「宝探しをしながらコンピュータの気持ちを体験しよう!」では、大阪府立桃谷高校の野部教諭を中心に、島を船で移動することで、宝島を目指すというゲームを行った。
実は、島のそのときの状態で、船で移動することが遷移を意味する。どのような状態でどう遷移すると、次はどのような状態になるかが分かるようになっている。参加した子どもたちは約30分間、宝探しを楽しむことで、状態と遷移について、学ぶことができた。宝探しの後に、自動販売機を例に、「お客さんを待つ」→「お金を入れる」→「品物を選ぶ」→「品物を出す」→「お客さんを待つ」という状態と遷移の関係を説明した。スタートは「お客さんを待つ」、ゴールは「品物を出す」。ゴールすると、スタートの状態に戻るのだ。
第2部は「富士通の技術を探検しよう!」
そして第2部「富士通の技術を探検しよう!」で、富士通テクノロジーホールを見学。自分で判断して動くことができるロボット「enon」、お店や駅などで案内したり情報を教えてくれる電子看板「UBWALL」、スーパーなどでお客さん自身が会計できるレジシステム「セルフチェックアウトシステム」、国際電話やインターネットに利用されている「海底ケーブル」、約50年前に作られた日本最初のコンピュータ「リレー式計算機」を見学・体験。
特に、「リレー式計算機」は実際に稼動。イベントに参加していた子どもだけでなく、その親も展示物に目が釘付けになっていた。