NTTドコモは30日、2010年3月期の第一四半期(4-6月)決算の発表会を開催した。営業収益は前年同期比7.3%減の1兆847億5,400万円、営業利益は同5.1%減の減収減益だったが、同社社長の山田隆持氏は「営業利益の進捗率は通期目標の30.3%で、おおむね想定通り」と話した。
前年同期比で減益となった理由について山田氏は、新たな販売モデルである「バリュープラン」の契約数が前年同期比で2.7倍増加したことにより音声収入が797億円減少したことや、端末販売数が前年同期比12%減の434万台となったことを挙げた。
一方、パケット定額サービス「パケ・ホーダイ ダブル」加入者の増加によるパケット収入が前年同期比で252億円増えたことや、その他収入が188億円増加したことなど、利益の押し上げ要因についても触れた。
その上で、「2008年度は新販売モデル導入による利益浮揚効果があった」とし、比較対象である前年同期が特別な状況にあったことが"減益"という結果の大きな要因であると説明した。また、「営業利益の進捗率は通期目標の30.3%で、おおむね想定通り」とし、通期の営業利益目標である8,300億円に向けて「パケット収入増加に向けた取組みと、費用の効率化を引き続き推進する」と述べた。
契約あたりの月間収入(ARPU)については、音声ARPUが前年同期比550円減の3,010円となったのに対し、パケットARPUが同100円増の2,430円となったと説明した。また、ベーシックプランより基本使用料が安くなる新販売モデルである「バリュープラン」のユーザー選択率が95%となったことも示した。
さらに、2010年3月期の第一四半期の解約率は0.44%、6月単月で見ると0.38%となったとし、「さらに下げていきたい」と話した。また、同四半期の純増数は26.3万契約で「確実に増えてきている」と今後の推移について自信を示した。
端末販売数については、4月は前年より少しプラス、5月は前年を若干下回ったという微増微減の状況にあったのに対し、6月は前年同期を30%も下回ったとし、「新商品が出るまでの買い控えや新商品の故障(不具合)などが影響したのではないか」と話した。7月は、6月よりも回復し、前年同期比10%減の見込みという。山田氏は「低価格帯の携帯電話がよく売れている」と述べ、その結果「1台あたりの卸価格は落ちている」と説明した。
「docomo PRO series」「docomo SMART series」「docomo PRIME series」「docomo STYLE series」の売上構成比に関しては、「PRIME series」「STYLE series」がそれぞれ約40%のシェアを占めていると説明、「当初の予定通り」と述べた。さらに「これまで発売したスマートフォンの中では、Android搭載の『HT-03A』が最も売れている」と話した。
また、8月1日からパケット定額サービスの下限を引き下げることについて、「動画を楽しんでほしいので、ぜひ定額サービスに入っていただきたい。『パケ・ホーダイ ダブル』の総契約数は6月末ですでに700万契約に達している」とし、今後も利用者拡大を図っていく方針を示した。
パケット定額サービス拡大から得られる収益と、トラフィック増に対応するための設備投資のバランスについては、「全ての人が定額サービスの上限まで利用するわけではないと思うが、100円、200円でも多く利用してもらうと収益は一気に上がる。パケットARPUをいかに上げるかは大きな課題」と話した。
iPhoneをNTTドコモで扱う可能性があるかどうかという記者の質問に対しては、「まだ諦めたわけではない」と話し、含みをもたせた。