ダイソンは30日、サイクロン方式を採用した同社のハンディクリーナー「DC16」の後継機にあたる「DC31」を発表した。「DC31」は、新たにダイソンデジタルモータV2(DDMV2)を搭載し、軽量、小型、ハイパワーを実現。ブラシレス構造と強力なネオジム磁石および軽量で壊れにくい炭素繊維強化ポリマー製のターボチャージャ3D回転翼を採用した新型モータは最高10万4,000rpmで回転し、同社によればこの速度は前モデル「DC16」が搭載していた従来型モータの約3倍、F1レーシングカーの約5倍、ボーイング747の約10倍の速さだという。
左が「DC31」で右がモータヘッド付属の「DC31 motorhead」。色とモータヘッドの付属以外はほぼ同じ製品だが、「DC31」はモータヘッド用の端子を装備していないため、後からオプションで装着することはできない |
ダイソンデジタルモータは、マイクロプロセッサを利用してデジタルパルスで回転させる仕組になっており、従来のモータで使用されていたカーボンブラシや整流子が必要としない構造になっている。そのため、ブラシの接触/摩耗によるカーボンダストの放出がなく効率よくエネルギーを回転する力に変換するとともに大幅に小型化することができる。
DDMV2の裏側(写真左)にはデジタルパルスを発生させるコイルとマイクロプロセッサが載ったボードが取り付けられている。中央の写真はモータを分解した状態で、左からモータの前面カバー、フィン(回転翼)、ケース、コイル、ボードの順で並んでいる。右の写真はDDMV2が組み込まれた「DC31」のカットモデル |
「DC31」に搭載されたDDMV2は、英ダイソンの専門チームが10年の歳月をかけて開発したもので、2006年に発売したキャニスタータイプの「DC12」に搭載されていたDDMV1の最新バージョンになる。今回、ハンディクリーナーにデジタルモータを搭載するにあたり、徹底した軽量小型化を図るとともに回転速度の調整を毎秒最高3,300行ないエネルギー効率を「DC16」の2倍に相当する84%にアップしている。これにより、モータのサイズは「DC16」の3分の1に納めながら吸引力は2倍になり、本体サイズも「DC16」の429×110×225mmに対して、322×112×204mmと非常にコンパクトになった(サイズはモータヘッドモデル)。また重量も1.7kgから1.51kgに軽量化されている。
左がDDMV2、右が従来型のモータ。2006年に発売されたキャニスタータイプの「DC12」に搭載されていたDDMV1はその時点で従来型の半分近いサイズだったという |
どちらも黒い部分が吸引するためのファン(左が従来型、右がDDMV2)。DDMV2のファンは軽くて丈夫な炭素繊維強化ポリマー製で自動車のターボチャージャのタービンのような形状をしている |
キャニスタータイプの「DC22」や「DC26」に装備されていた吸引パワーモードは「DC16」は未装備だったが、「DC31」では「通常」と「強」の2種類のモードが搭載された。しかも「強」モードは「DC16」の2倍の吸引力となっているが、最大使用時間はエネルギー効率アップによって強モードで約6分、通常モードで約10分と「DC16」の約6分よりも大幅に延長されている。リチウムイオンバッテリは21.6ボルトから22.2ボルトに電圧がアップされており、形状も変更されている。
発売は9月18日を予定しており、価格はオープンプライスで、実売価格はモータヘッドが付属した「DC31 motorhead」が3万4,000円前後、モータヘッド未対応の「DC31」が数千円程度安くなると予想される。保証期間は2年で、販売はダイソン製品を扱っている全国の2,300店舗の家電販売店のうち1,900店舗が同製品を扱うことになっているという。日本ではまだハンディクリーナーの市場が小さく、ダイソンによれば550万台のクリーナー市場の中で10%程度しかなく、同社の「DC16」はさらにその中の15%ほどにすぎないが、今後はハンディクリーナーへの理解を深めてもらい市場を拡大していきたいとしている。
「DC16」(写真左)と「DC31」(写真右)のバッテリ。電圧だけでなく充電端子の位置や取り外しボタンが変更された。また、「DC16」はクリーナー本体に取り付けた状態でないと充電できなかったが、「DC31」は取り外した状態でも充電できる |
ダイソンは、「DC31」と同時に「DC26 pink」限定モデルも発表した。このモデルは、ピンクリボン活動を支援するためジャームズダイソン財団が、製品1台につき2000円をNPO法人乳房健康研究会に寄付するというもの。発売は9月18日で5000台限定となっている。