「書体」で見せるのか、「写真・イラスト」でイメージさせるのか
――パッケージをデザインする際に順序はあるのでしょうか。
「順序はないと思うけど、切り口を明確にするということは考えますね。書体を大きくして読ませるか、あるいは写真・イラストでイメージを伝えるのか。商品の特性から来るデザインの方向性に軸を持たせ、ロゴを大きく見せるなら書体をしっかりと際立たせる。イラストや写真で見せるならイメージを鮮明に表現する。要素を詰め込みすぎると印象は散漫になるから、考え方としては引き算して整理していくことも大事です」
――コンテストではCS4のパッケージをデザインするという課題ですが、特徴を上げるとしたらどのようなことでしょうか。
「CS4の印象を自分がどう捉えていて、それを他人にいかにデザインで伝えるのかということです。CS4がお店で置かれる状況を考えると、大概、棚の上の方にこちらに正面を向けて置いてありますよね。今回の課題は、正面と側面の2面のデザインというフォーマットなので、正面とサイドを連動させながらパッケージらしい立体感を感じさせることを意識してもらいたいですね」
――より具体的なアドバイスとしては ?
「強調するところは強調しながら、ポイントを作り出すこと。それはアイコンでも良いし、キャッチでも、色でも良い。ポイントをおさえて情報を整理することです。そこをどうアレンジしていくか。アイディアですよね。スペースは限られていて、入ってくる情報も決まっているわけだから、どこを小さくして大きくするかという『まとめ』が大事です」
「アイディア」こそ、審査のポイント
――今回は審査員を務められますが、審査のポイントになる部分というのがあれば教えてください。
「今回は、コンセプトやアイディアを重点的に見ていきたいですね。店頭で見たときにドキッとするようなアイディアがあるとベター。アイディアがしっかり落とし込まれているかどうか。その辺が審査の基準になるんじゃないでしょうかね。たとえば、書体ひとつとっても既存の書体を使うのではなくて、オリジナルの書体を描いてみる。商品のイメージと書体のイメージというのは密接に関わっていますから。方眼紙に書体を描いてスキャンして使うとかね。特に、最近は書体を作るという行為自体が減っていると思うので、書体を描くということがデザインとしてどれだけ有効であるのか、この際だから試してみるのも良いのではないでしょうか。シンプルかつセンス良くね(笑)」
――学生さんなど、はじめてパッケージのデザインを手掛けるという方々にアドバイスをお願いします。
「重複しますが、中身を伝えるような表面の顔をいかにアレンジして、デザインしていくか。そこに尽きますね。商品をイメージさせる書体をオリジナルで制作するか、それが難しい場合は既存のフォントから何を選択するか、ということも考慮する必要があります。大事なのは、書体を大きくして読ませるか、イメージから伝えるか。伝える内容によって切り口は変えます。イメージを重視するなら書体は普通でも良いけど、書体を強調する場合はイメージをおさえるなど。とにかくバランスが大事です。力作を期待していますよ!」(了)
竹田さんからのアドバイス--後半
●デザインの目的に応じて書体、イラスト・写真を使用する
●要素を詰め込まず、引き算のデザインをする
●ポイントをおさえて情報を整理し、バランスを考慮する
竹田良雄 |