7月1日より募集がはじまった「Adobeクリエイティブコンテスト」。その課題に上げられているのが、Adobe Creative Suite 4の「パッケージ」をデザインするというもの。同じグラフィックと括ったとしても、やはりポスターやカードなどの平面をデザインするのとは考え方やプロセスも異なるのではないだろうか。

そこで、今回のコンテストで審査員を務めて頂く、バンブーデザイン企画室のアートディレクター、竹田良雄さんにパッケージデザインの考え方と作り方のポイントを伺った。コンテストに応募する読者はもちろんのこと、パッケージデザインに興味がある方も是非、一読してもらいたい。

ポイントは「何を、どのように伝えるのか」


――竹田さんのディレクションされたパッケージを拝見させて頂いてもよろしいでしょうか。

「これはRICOHのデジタルカメラ『GR DIGITAL』と『Caprio』シリーズのパッケージです。どちらも世界共通で使用されていて、商品名、機能、同梱品、仕様、原寸大のイラストなど、様々な情報を整理し、配置しています。シンプルに見せながらバランス良くデザインするパッケージの好例ですね。正面と側面という面積のバランス、立体として見たときの一連性も意識してデザインしています」

プロのカメラマンをはじめ写真愛好家に支持され続けている「GR DIGITAL」と「Caplio R3」。どちらもシンプルかつ商品のイメージをそのままに、品のあるパッケージとなっている。写真右は竹田良雄さん

――平面のデザインとパッケージのデザイン、考え方として大きく異なる点はどのようなことでしょうか。

「ご存知の通り、立体であることです。そこが決定的に違いますね。たとえば、ポスターであれば壁に貼れるのですが、パッケージは商品なので置かれる場所も念頭に置かなければいけません。棚に置く、といっても正面がこちらを向いていることもあれば、背しか見えないこともある。ですので、正面のデザインはもちろん、側面から見ても内容がわかるということ、両面がともに連動していることが大事になってきます」

――となると、デザインの方向性を考えるプロセスでポイントとなるのは……。

「まずは、商品名をしっかり見せる。その商品がどのような商品であるのか、何を特徴としているのかを一目でわかるようにします。そのためには、商品の持つイメージをどのように伝えるのかが重要なポイントになってきます。具体的には、イラストを使うのか、写真を使うのか。それとも書体を使ってイメージさせるのか。まずは何を伝えるのかを明確にし、それをどう伝えるのかを考えるということですね」

――食品パッケージではキャッチが入っているものも見掛けます。

「パッケージにキャッチを入れるというのは、少しセンスのいる作業です。ただ、中身がわかるという意味では非常に有効。意外と、プロとアマチュアの違いがハッキリ表れるのはキャッチの使い方なんですよね。プロであれば、キャッチを入れるということを必ず選択肢に入れるはずですよ。デザインを活かしながら、中身をイメージさせる一言をあえて言葉で表す。プロはその辺のさじ加減が抜群なんです」


竹田さんからのアドバイス--前半

●正面と側面がともに連動させる
●商品名をしっかりと見せる
●商品の特徴を一目でわかるように伝える


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