マイクロソフトは、Windows7の法人向けボリュームライセンスの国内販売を、9月1日から開始する。
提供するのは、既存PCのOSをWindows7 Professionalにアップグレードする「Upgrade License」、Windows7 EnterpriseへのアップグレードとSA(Software Assurance)特典を受けられる「Upgrade & Software Assurance」、Windows7 EnterpriseをSA単体で購入する「Software Assurance」の3種類。SA単体の購入条件としては、保有しているSA契約期間が満了しSAを更新する場合、あるいは新規PC購入後90日以内となる。Software AssuranceおよびUpgrade & Software Assuranceで受けられるSA特典とは、Windows7 Enterpriseへのアップグレード権、MDOP購入権(MDOPは有償)、多言語ユーザーインターフェースの提供、社員購買などとなっている。
また、提供形態としては、Windows7 Enterpriseは、SAおよびEAにるボリュームライセンスによる提供のみとし、Windows7 ProfessionalはOEM版、店頭パッケージ版、ボリュームライセンスによる提供がそれぞれ用意される。
「Windows7 Enterpriseは名称から大手企業向けというイメージがあるが、3台からライセンス購入が可能で、中小企業でも導入の対象となる」(マイクロソフトコマーシャルWindows本部・中川哲本部長)という。
8月1日時点で有効なSA/EA契約を持つ法人ユーザーは、そのまままWindows7の契約を取得でき、Windows7を9月1日から購入できる。また、DVDによるインストールメディアを、9月1日から、ボリュームライセンスプログラムにおいて、有償で販売する。価格は3,000円を予定している。
製品ダウンロードについては、英語版が8月7日からMSDN、TechNet、VLSCを通じて行える。日本語版のダウンロードについては、「順次提供することになる」(マイクロソフトコマーシャルWindows本部ビジネスマーケティング部マネージャー・東條英俊氏)として、具体的な日程には言及しなかった。
さらに9月以降には、Windows7 Enterprise日本語版の90日間評価版を提供する予定で、「当社の営業担当者を経由して、ユーザーに提供する形になる」(東條マネージャー)という。
「法人向け早期アップグレード割引キャンペーン」
一方、同社では、9月1日から「法人向け早期アップグレード割引キャンペーン」を開始することも発表した。同キャンペーンは、Windows XP ProfessionalおよびWindows Vista Businessユーザーを対象に、Windows7 Professional アップグレードを、19,800円の優待価格で提供するもの。Windows7の通常のアップグレードライセンス価格である24,600円に比較して約5,000円安い。通常は有償で頒布しているインストールディスクや、インストール方法を解説した「インストールガイド(仮称)」もプレゼントする。期間は、2010年2月まで。
「法人向けクライアントPC市場の2台に1台は、Windows7へのアップグレードが可能なPC。2006年以降に導入されたPCはほぼ対象となる。また、今後はWindows7時代に適した効率的な運用環境が求められ、Windows7への置き換えでは、アプリケーションの管理がキーテーマになってくる。MDOPによるスムーズで有効な入れ替えを行えるように環境を提供できるのも大きな特徴だ。今回のキャンペーンによって、Windows VistaおよびWindows XPユーザーを、早期にWindows7にアップグレードできるように支援していきたい」(マイクロソフトコマーシャルWindows本部・中川哲本部長)としている。
マイクロソフトでは、2月20日から「法人向けWindows7先行優待キャンペーン」を開始。当初、6月30日までだった期間を8月31日まで延長し、現在も同キャンペーンを実施中。優待価格でWindows7 Enterpriseを購入できる3つのプランを用意し、例えば、SA(ソフトウェア・アシュアランス)単体による購入の場合には、12,000円の優待価格で入手できる。
同社によると、キャンペーン効果もあり、2~6月のSAの国内販売実績は対前年比で220%にのなっているという。今回発表した新キャンペーンは、同キャンペーンの終了にあわせて開始されるものとなる。
Windows7導入時のコスト削減効果
一方、調査会社のアイ・ティ・アールは、Windows7導入時のコスト削減効果について公表。約1,500台のPCが導入されている中堅企業の場合、WindowsXPからWindows7に移行することで、導入3年目には最大65%のコスト削減が可能になるという調査結果を発表した。
これは、DirectAccessによるコスト削減効果、UACによるコスト削減効果、BitLocker To Goによるコスト削減効果、AppLockerによるコスト削減効果、MED-Vによるコスト削減効果、セキュリティ被害による業務停止被害コストの影響をシミュレーションしたもの。これに、OSの導入関連コストを加えても、3年後には7%のコスト削減効果が可能だという。
アイ・ティ・アールの生熊清司シニア・アナリストは、「企業ITにおいては、クライアントの重要性をさらに認識し、技術の進化とニーズの変化を見定めたクライアント戦略を立案することが求められる。Windwos7は、クライアトン戦略を立案するためには最適なきっかけとなる。Windows7では、DirectAccess、AppLocker、MED-Vによる大幅なコスト削減効果が見込まれる」とした。