長らく噂の出ているAppleのタブレット型携帯デバイスの新情報が出てきた。英Financial Times (FT)の7月27日(現地時間)の報道によれば、新型デバイスは10インチのタッチスクリーンを内蔵し、"Cocktail"と呼ばれる新サービスとともに9月に発表されることになるという。

これまでにもApple Insiderなどのサイトがたびたびリーク情報として新型デバイスについて報じていたが、今回FTは「Apple targets new player revolution」「Apple joins forces with record labels」という2つの記事で新デバイス、そしてそれに付随する新サービスについて紹介している。新デバイスについては以前のBusinessWeekのレポートにもあるように、インターネット接続機能を備えた10インチ大のiPod touchライクな筐体を備え、音声通話機能を持たない代わりに3Gの携帯ネットワークを介してデータ通信が可能というものだ。BusinessWeekではデータ通信ネットワークの利用にあたり、現在iPhoneの独占販売で提携している米AT&Tではなく、ライバルの米Verizon Wirelessと交渉を進めているという。今回のFTのレポートでは、提携キャリアの件については触れてない。

とかく新型デバイスなどハードウェア面に注目が集まりがちなAppleだが、今回のポイントはむしろ新デバイスに付随する新サービス "Cocktail" のほうにありそうだ。Appleは現在iTunes Storeで楽曲のオンライン販売を行っているが、通常のユーザーは特定の好みの1-2曲のみをチョイスしてCD全体やアルバムに手を出すケースは少ないという。だがFTの取材を受けた音楽業界幹部らによれば、Appleでは新型デバイスの大型スクリーンを活かして、ブックレットやCDのライナーノーツなど、より付加価値の高い部分に注目しつつあるという。単純なテキストデータだけでなく、前述のライナーノーツやビデオクリップのオマケなど、音楽をさらに楽しくする要素を盛り込むのがCocktailの狙いとなる。現在AppleはEMI、Sony Music、Warner Music、Universal Music Groupらメジャーレーベルらと新サービス立ち上げの準備に取りかかっており、9月の正式ローンチを予定しているとFTでは報じている。またKindleなどに代わる電子ブックリーダーとしての活用も検討されており、すでにいくつかの出版社がAppleと接触しているという。

新型デバイスの登場時期についてもCocktail同様の9月または10月ごろを見込んでおり、クリスマス前の時期には市場に投入される見込みだとFTでは説明する。価格帯は600-1,000ドル程度を見込んでいる。