低価格かつスピーディーな導入を実現

ガリバーインターナショナルでは社内協議の結果、6月に有料版「Premier Edition」の全社導入を決定。 Google Enterprise Partner パートナーであるベイテックシステムズにコンタクトし、導入を開始した。

ユーザーは社員とアルバイト、子会社も含めて約2500-3000名だが、アカウントの整理など事前準備を進めていたため、カットオーバーまで約2週間という異例の速さを実現。こうした導入の速さもGoogle Appsの特徴といえるだろう。

ガリバーインターナショナルが最初に行ったのは、本部ではなく直営店に対する機能提供だ。これはシステム部門の目が届く本部と比べて、直営店の方が難易度が高いと判断したため。椛田氏も「各店舗にはメールアドレスが1つしかなく、しかもOutlook経由だったので営業マンが店舗に戻らなければメールができない状態でした。多い店舗では20人以上のスタッフがいるため、メールの取り合いになっていたわけです」と語る。こうした背景から、約500箇所ある直営店のうち300店舗分にGoogle Appsを導入し、メールとカレンダー、社内ポータル用のGoogleサイトを先行して展開。そして現在は本部の改革フェーズへと移行しているという。

Google Appsの利用方法として、カレンダーは各自のスケジュール管理やミーティング時間の共有などに使っているという。椛田氏は「以前からあるツールも使い勝手自体はかなり良いのですが、特定のPCでしか使えないというデメリットがあります。その点でGoogle AppsならWeb経由でどこからでも見られますし、同期メールが送れるなどビジネスのスピードも格段に向上します」と語る。

Googleサイトを使った社内ポータルについては、主に本部から直営店への情報発信として利用されている。人事や総務など各チームごとにサイトを作り、必要な情報をアップロードするわけだ。また、サイト全体を横断した検索ができるので、変更通知を追うことで常に最新の情報を得られるようになっている。「今まで社内のインフラでしか行えなかったことが、クラウド上で実現したのは大きいですね。すべてのスタッフが手軽に更新・発信できるようになり、企業として重要な『知の共有』が促進されます」(椛田氏)

導入後どのようにイノベーションを起こすかが重要

椛田氏は社内の反応について「約10年前に業界の常識を覆した『ドルフィネットシステム』に代表されるように、私たちはITに関して日本企業の中でのアーリーアダプターだと思っています。会社全体に『変革しなければ』という雰囲気が浸透しているので、今回のインフラ改革でもスタッフからはツールが変わって当然だという認識で受け止めてもらえました」と語る。

こうした社内の雰囲気があるからこそ、スムーズなインフラ改革が行えたわけだ。また、教育に関しても基本操作を教えるだけで、あとは個人の努力や判断に任せているのもポイントだ。「上からの強制や使い方の縛りを設けてしまうと、スタッフの積極的な活動を阻害してしまいます。そこで企業にとって重要なセキュリティ面だけは確保しつつ、できるだけフリーに使ってもらっています」(椛田氏)

「導入することがゴールではなく、導入後にどうやってイノベーションを起こすかが重要となります。これから先が本当の勝負というわけですね」と語る椛田氏。Google Appsの機能をどこまで使いこなすかで、今まで慣れていたレベルに追いつき、そして追い越せるかが変わってくるというわけだ。

最後に椛田氏は、「シングルサインオン機能に関しては、ベイテックシステムズのシングルサイオンシステムを利用した。今後は、ベイテックシステムズが提供しているGoogle Appsを使ったタイムカード・勤怠管理システムなどの導入も考えています」と、今後の取り組みについて語ってくれた。