3年ぶりに「ファイルメーカー選手権」が開催されている。選手権は、ファイルメーカーのデータベースソフト「FileMaker」で制作したオリジナルのテンプレートの総合的な完成度を競うコンテストで、ユニークかつアイデアあふれる作品を、6つのジャンル(ビジネス、ホーム、エンターテインメント、教育、医療、その他)で受付けている。
また、優秀者には副賞としてMacBook Pro、ニンテンドーDSなど多数、賞品が用意されている。「我こそは!」とお思いの読者の方々には、是非挑戦していただきたい。なお、投稿された作品は、誰もがダウンロードできるようになっており、実際に応募されたテンプレートをユーザーが評価し、投票することも可能となっているのが本選手権の大きな特徴と言えよう。Webサイト上では、FileMaker Pro 10の無料評価版も設置されている。
本稿では、前回大会で年間MVPに輝いたテンプレート「伴子の楽々栄養計算」(作者:川端 兆盛さん)にスポットを当てて、作品の実際の使い勝手などを紹介していくとしよう。
第三者にも使いやすく利便性が高いのが受賞のポイント
まず、年間MVPを獲得した「伴子の楽々栄養計算」のテンプレートの概要に触れておこう。この「伴子の楽々栄養計算」は、食品成分表の絞り込み検索・食品名検索・成分数値を指定した検索などの高機能検索することが可能である。
また、食品の成分を多い順にランキング表示する、野菜類の中で鉄分の多い順などもクリックのみで簡単に表示することができる。加えて、栄養計算機能ではレシピや献立などのデータ交換や、作成した献立表から栄養素充足率やPFC(たんぱく質・脂質・炭水化物のエネルギーバランス)比率のグラフ表示も可能だ。機能性はもちろん、栄養学的な見地を誰もが簡単に得られるのが魅力といえる。
さて、それでは早速「伴子の楽々栄養計算」を立ち上げてみよう。まず、FileMakerを起動し、「ファイル」から「開く」を選択し、「Banko」フォルダ内のFileMakerテンプレートファイル「Banko」を選択しよう。すると、トップウィンドウが表示されるはずだ。表示されている項目は「とりあえず使ってみる」「ユーザー登録」「ユーザーキー入力」「閉じる」の4つ。ここでは「とりあえず使ってみる」をクリックしよう。
すると、図2のような画面が展開されるはずだ。インデックスには、"食材"の項で「食品成分表を開く」、「食品成分検索」が、"レシピ"の項では「レシピリスト」、「新規レシピ作成」、「レシピ検索」が、"献立"の項には、「献立リスト」、「新規献立作成」、「献立検索」が用意されている。取扱説明書を見なくても「どこでどんなことができるのか?」が、ひと目でわかるように配慮されている。
また、画面の最下部には「環境設定」と「このソフトウェアについて」という項目が用意されている。「このソフトウェアについて」は、「伴子の楽々栄養計算」を120%使いこなすためのTip'sにあふれている。
最下部に置かれているボタンではあるが、この秀逸なソフトウェアについてのマニュアルは、あくまでも利用者の目線で作られており、作者の思いやり、是非使いこなして欲しいという真摯な思いを感じずにはいられない。作品を利用する前に、まずは「このソフトウェアについて」をクリックすることを推奨したい。
1,800件以上の食品リスト!
早速、「食品成分表を開く」をクリックしたところ、ズラリと並んだ豊富な情報に驚かされた。1,800件以上もの食品リストを完成させるのに、いったいどれだけの時間を費やされたのだろう。ひとりのユーザーとして、本当に頭が下がる思いだ。成分が多く含まれているものから順に表示させるなど、ソート機能も大変に使い勝手が良い。
レシピリストをチェックしてみると、ごく一般的な料理が表示されている。たとえば、「今日の晩ご飯は、かに玉丼にしよう」と、かに玉丼を選択したとする。すると、図のような形でレシピが表示されるほか、レシピ通り料理した場合の栄養素がすべて表示される。
これは、伸び盛りなお子さんを持つお母さんはもちろん、食事制限を受けている患者を家族に持つお母さんにとって、これ以上ない便利なツールと言えるだろう。もちろん、新規で自分なりのレシピを追加していくことも可能で、自分が料理した食事の栄養素やカロリー、最近何かと話題の中性脂肪などの量も数字で確かめることができる。
また、献立表では、サンプルとして「16歳の男子」「授乳期食22歳」「アラサーな28歳女性」の3つが収録されており、それを参考にオリジナルの献立表を作成することも可能。子どものお弁当を毎日作らなければならないお母さんにとって、食品成分表を見ながら新たに献立表を作り足していく、という使い方は便利なことこの上ない。
実際、筆者も幼稚園に通う娘がおり、毎日持参させるお弁当の献立に妻は頭を悩ませている。「伴子の楽々栄養計算」を見た際にも「こんな便利なものがあるなら早く言ってよ!」と言う程の食いつきよう。主婦にとってこれほど助けになるものはない、という利便性が、年間MVPを獲得した理由とも言えるのではないだろうか。
一般家庭はもちろん、栄養管理士にとっても役立つこと請け合い
今回紹介した「伴子の楽々栄養計算」は、単に食品の栄養素のデータベースではなく、より実践的に献立を考えたい時にも活用できる。
献立や料理に含まれる栄養素をチェックし、バランスの良い食生活を送るための多方面からの情報が豊富に盛り込まれている。「こんなものがあったら便利だな」というアイデアをさらに深掘りして、「だったら、こんなこともできたら便利そうだ」と相互に作用しあう機能を持たせて作られているのが大きなポイントといえるだろう。
第10回マイコミジャーナル FileMaker選手権では、単機能に特化したものも評価対象に値するが、データベースにある情報を二次利用、三次利用できるような仕組みを持たせることによってユーザーの痒いところに手が届くテンプレートが作成できれば、上位入賞も夢ではない!かもしれない。「自分も良いテンプレートができたよ!」と思う読者の皆様、自分のアイデアを結集した自慢のテンプレートを是非お送り下さい!