白土三平原作のコミックを初めて実写映画化した『カムイ外伝』の完成披露試写会が22日、都内で行われ、主演の松山ケンイチ、脚本の宮藤官九郎、崔洋一監督が登場した。
プロジェクトが立ち上がったのは実に5年も前のこと。「カムイ」をやろうと決めた後、誰と組むかを模索してかなりの時間を費やしたという。そこで脚本家として白羽の矢が立ったのは宮藤官九郎。「日活の食堂でラーメンを食べながら話したんですよね。でも何でオレなんだろうと。その理由が見つかるまでに大分時間がかかりました」。
崔監督は「掛け合わせることの化学反応を考えました。宮藤官九郎という物書きが持つ"異端のエッジ"、おおきな流れとはベツのところに立ち位置がある宮藤官九郎が好きで、強烈にお願いしたいと思ったんです」と宮藤起用の意図について語った。
そして、カムイ役の松山ケンイチへは松山に出てもらえなければ企画自体なかったことにしよう、とまで決めてオファーをかけたという。
「日本に生まれたからには時代劇は絶対やるべきだし、しかも忍者。崔監督は僕の周りでは怖がられる存在で、チープな言い方ですが"巨匠"という言葉がまず出てくる方なんですが、そういう監督と是非一緒にやらせてもらいたいと思いました」と松山は一も二もなく快諾したのだとか。
最初に監督と会ったのは第一回目の衣装合わせのとき。ビクビクして緊張で身構えていると「『じゃあケンちゃんこれ着てみて』ってものすごく気さくで(笑)。見透かされてるなーと思いましたね。その時から安心したし、信頼できる監督だなと感じました」。
また、2人で原作者の白土三平氏に挨拶に行ったエピソードも。「白土先生がケンイチを見て『本物だ。ここに初めてカムイの本物がいる』とおっしゃって下さって。感動しましたね」と振り返ると、松山も「これ以上の幸せはないですよね」と続けた。
アクションに関しては、撮影に入る前に1年ほどトレーニング期間が設けられたという。「アクションは初めてでした。2、3カ月だけの練習であとは現場で、という形ではなかったので本当にありがたかったですね」(松山)。「ケンイチは7~8メートル助走つければ壁を横走りできるんですよ」と驚愕の真実も監督から披露された。
最後は崔監督が「完全無欠のスーパーマンでもない、アンチヒーローでもダークヒーローでもないカムイ像を見届けてください。この映画ではカムイが松山ケンイチです。松山ケンイチがカムイです」と自信たっぷりの挨拶で締めくくった。
『カムイ外伝』は9月19日より全国ロードショー。
忍者カムイ(松山ケンイチ)は理不尽な殺戮と掟に嫌気が差し、忍の世界を抜け出す。裏切り者として追われる旅の途中で半兵衛(小林薫)という名の漁師を助けたことから家族に迎えられるがその妻スガル(小雪)は抜け忍の元くの一だった。カムイを追っ手と信じて疑わないスガルはまったく心を許さない |
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