ヤマハのサウンドテクノロジー開発センターは17日、住宅の居室やオフィス内会議室等の小空間で発生する低音域の"こもり"や、壁面間の多重反射によるフラッターエコーといった音響的課題を解決するという「音場制御パネル技術」を開発したと発表した。

従来の音響的課題の解決方法は、音響設計の専門家が吸音材や反射板などを現場の状況に合わせて配置したり、低音域の吸音性能を上げるために吸音材の厚みを大幅に増すなど、小空間には不向きな面があったとのこと。

同技術では、1枚のパネルが吸音と散乱の作用をほどよく両立させた特性を持つほか、パネル全体で偏りのない吸音・散乱性能が得られるようにチューニングできる。例えるなら、「部屋」を「楽器」と見立てて、最適な音環境を作りだそうという発想とのことだ。

同技術の基本要素の1つである音響共鳴管。管の片面一部に開口部を開けることで、開口部上下に長短2本の共鳴管を作り出し、2つの周波数で共鳴する音響共鳴管としている

音響共鳴管をパネル状に連結することで、管の外壁面が硬い反射面を構成するという

パネルの構造を音響面で観測すると、開口部から放射される音と硬いパネル面から反射される音の相互作用による散乱効果と、開口部での音のエネルギー消費による吸音効果があるという

また、小空間向きな厚さ3cmという薄いパネルで優れた吸音特性を発揮でき、技術の本質が"構造"であるためパネルの素材選択の自由度が高く、さらに電気を使用しないなどのメリットがあるとしている。同社では現在、同技術に関する9件の特許を申請中で、実用化に向けて研究開発を進めているとのこと。