キングソフトは15日、ネットブックに特化したセキュリティソフト「Kingsoft Internet Security U Service Pack 1 quick」をリリースした。同社Webサイトから無料でダウロードできる。対応OSは、Windows 2000 / XP / Vista。同製品は、広告付きの完全無料版と広告なしの有料版の2種類となり、有料版はライセンス料を支払うことによって広告を外すことができる。パッケージ版は2009年初秋リリース予定となる。
公開された「Kingsoft Internet Security U Service Pack 1 quick」は、急激にそのシェアを伸ばしてきたネットブックやミニノートなどの小型ノートPCにに焦点を絞ったセキュリティソフトになる。同社では、ネットブックや小型ノートPCなどにおいてはデスクトップPCに比べて、セキュリティソフトを入れずにウイルスの危険性にさらされたままインターネットを利用しているユーザーなども多いとみており、低スペックのマシンでも快適に動くセキュリティソフトをコンセプトに製品を開発した。
製品は同社統合セキュリティソフト「Kingsoft Internet Security U SP1」の一部機能をオミットし、基本機能中心に再構築することよって、メモリ使用量やCPU使用率が下げることで、快適な操作性を実現。PCの起動時間やスキャンスピードも大幅に短縮された。
低スペックマシンでも快適に動作
「Kingsoft Internet Security U Service Pack 1 quick(以下略KISU SP1 quick)」は、同社開発の「Kingsoft Internet Security U SP1(以下略KISU SP1)」の3つのコア、「Kingsoft SecurityCare」と「Kingsoft AntiVirus」、「Kingsoft PersonalFirewall」のうちウェブサイト経由した攻撃など対処するウェブディフェンダー機能などを有する「Kingsoft SecurityCare」を外し、基本的な機能を中心に構成したものとなる。
これによりインストーラのサイズで34.2M、インストール後のサイズで75Mと、それぞれ34.2%減、67%減と大幅なサイズダウンに成功。ログインからの起動時間も49秒となり、SP1の94.3秒に比べてほぼ半分に短縮している。また、CPU使用率の平均も31.99%でSP1に比べて55%低くなっており、物理メモリや仮想メモリの使用量も、それぞれ平均で67%、44%削減されている。全体的に動作性能はKISU SP1にくらべてほぼ倍のスピードと軽快性を持つことになる。
加えて、ウィルススキャンの所要時間も387.63秒とKISU SP1の871.84秒に比べてほぼ半分に短縮。これにより、ネットブックにかぎらず古い低スペックのマシンでも快適な動作が可能になるという。
「Kingsoft SecurityCare」は現在、開発中であり時期バージョンには組み入る予定となる。また、ウイルスデータベースに関しては、KISU SP1の100万にも及ぶパターンファイルデータベースから感染OSとソフトの環境、バージョン、感染実績の有無などを基準に10万程度にまで対象を絞りこむことによって高速化を実現しているという。
同社は、ネットブックだけでなく中古PCやマンガ喫茶などのPCでの使用も視野に入れており、今回の製品はそういった低価格製品やコスト削減を求めるユーザーに向けた製品となる。
製品の発表にあたり、同社代表取締役 翁永飆氏は、今回発表された新商品「KISU SP1 quick」についてネットブック市場だけでなく、PCの中古市場、ネットカフェなどWEBサービス市場なども意識した商品であるという点を強調。
同社の「Kingsoft Office」が2007年、日本市場に参入当初、3万ライセンスしか販売できなかったが、ネットブックが普及し始めた2008年頃から販売数が約27万から28万に増え、2009年度は上半期で30万のライセンスを販売した実績を生かし、コンシュマー向けのOffice不搭載マシンを狙った販売戦略に加えて、中古PC市場やネットカフェなどのサービス市場でのシェアアップを狙っていくという。
また、マイクロソフトがWindows LiveにおいてMicrosoft Officeの基本機能を無料提供することを発表したことについて、同社でもネットブック向けに「Kingsoft Office」のオンラインサービスを計画中であり、文書作成機能以外の文書管理や文書作成アシストなどでより付加価値の高いサービスの提供を目指して開発と準備をすすめていると語った。
また、キングソフト代表取締役 沈 海寅氏は「弊社はソフトウェアの会社のイメージが強いがそうではなく、ソフトウェアを介したWEBサービスの会社である」とし、「広告収入によって会社を支えているのは、ソフトウェア会社では、同社のみ」と強調。
これからのソフトウェアについては、「ソフトウェアなのかサービスなのか区別が出来なくなってくる」とし、その観点から今後はWEBサービスの展開に力を入れていき、「KISU SP1 quick」の次期バージョンは、現在のものに対して大幅な変更を検討していると述べた。
また、このコンセプトをもとに初の無料辞書ソフトとして発表した「キングソフト辞書」の役割を重視し、ただ単に検索に利用するだけのソフトではなく、情報へアクセスするためのインタフェースとしての機能を提供していきユーザーの囲い込みを狙っていくという。