田中貴金属工業は15日、2009年1月~6月の投資用金地金、プラチナ地金の販売量と買取量の数値(指数)をまとめた。なお、金とプラチナ価格はすべて税抜き小売価格。

金地金の平均価格は2,845円 / gで、昨年10月~12月の平均価格(2,499円 / g)から大きく回復した。世界同時不況の影響で、一時大きく月額平均価格は下落したが、今年に入り、欧米各国の政府による経済支援対策への期待感、それによるインフレ懸念から、金価格は上昇基調で推移した。4月に一時反落し、価格を落としたものの、中国が準備資産として金を積み増したとの噂もあり、再び上昇。6月には今年最高値の3,071円 / gを記録した。

金地金の売買状況は、昨年同時期に比べて販売量が約1.5倍に増加。買取量は約42%に減少している。同社は「価格が昨年並みに回復しつつあるにもかかわらず、販売量が増加し、買取量が減少している事から、一般投資家に資産形成、資産保全としての金保有の認知度が浸透してきたことがうかがえます」と分析する。

プラチナ地金の平均価格は3,477円 / gで、昨年末3カ月間(10月~12月)の平均価格(2,789円 / g)から大きく回復した。自動車産業を中心とする工業需要が高いプラチナ地金は、自動車産業の不振から11月には2,454円 / gまで下落したが、現物資産への注目と値ごろ感から投資資金が流入し、一転して価格が上昇。今年に入り、米大手自動車メーカーの破綻による悪材料の出尽くし感や、中国の宝飾投資需要の支えにより着実に価格を上げ、6月には今年最高値となる4,078円/gを記録した。

また、プラチナ地金の販売量は、昨年同時期に比べて約3.6倍と大きく上回った。買取量も活発で、プラチナの投資需要の高まりが窺えるという。同社は「景気の底打ち感がでてきた現在、工業用実需の回復への期待と、南アフリカのプラチナ鉱山の労働者賃金交渉の動向に、市場への注目が集まることが予想されます」としている。