世界保健機構(WHO)がパンデミックの発生を公式に宣言した新型インフルエンザ。厚生労働省によると、7月10日時点に報告されている新型インフルエンザの国内感染者数は2,253名。一部に原因が特定できない散発事例が発生しており、秋冬に向けていつ全国的かつ大規模な患者増加が起ってもおかしくない状況だという。

そうした中、東京ビッグサイトで8日~10日の3日間にわたり、展示会「第3回オフィス防災フェア」内で、「第1回 新型インフルエンザ対策フェア」が展開されていた。基本的に業務用の製品が並ぶコーナーだが、その中でも個人でも購入できる製品をセレクト。新型インフルエンザ流行第2波に備えるべく、同フェアで紹介されていた製品を紹介する。

【マスク】ウイルスの感染価を99.9%以上抑える抗ウイルスマスク

風邪・インフルエンザ予防グッズの代表格といえば、「マスク」が挙げられる。ウイルスの感染価を減少させるという抗ウイルス効果を持つマスクが各社で開発・販売されているが、同フェアでも数多く展示されていた。

「FLUTECT」は、シキボウと農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛星研究所の共同開発による、抗ウイルス加工繊維「フルテクト」を採用したマスク。フルテクトは、同繊維に付着した鳥インフルエンザウイルスや人インフルエンザウイルスの感染価を約10分で99.9%以上低下させる効果を持つという。基本的には企業等向けの販売のみで、1箱(30枚入り/参考価格 5,250円)×27箱が最小ロットとなっている。ただし、同製品を扱っているセスでは、数量により個人購入への対応も行っている。また、コンビニエンスストアで3枚入りパック(525円)も一部販売されている。

「FLUTECT」。ポリプロピレン(PP)不織布フィルター、抗ウイルス加工フルテクトフィルター、高性能フィルター(バクテリア捕集効果に優れたフィルター)、PP不織布フィルターを重ねた4層構造

明治製菓の「ウイルス立ち入り禁止マスク」(3枚入り/396円)は、「イソジンうがい薬」の有効成分である「ポビドンヨード」を化学結合させた「3Dイソジンフィルター」内蔵型のマスク。ウイルスや細菌飛沫を99.9%ブロックできるとしている。全国のドラッグストアや一部のコンビニエンスストア等で購入可能。

「ウイルス立ち入り禁止マスク」。2層の外カバー不織布と、高密度フィルター、3Dイソジンフィルター、内カバー不織布フィルターの5層構造

また、3Mは、N95タイプのマスクを展示。N95というのはフィルターの性能のことで、「最もフィルターを通過しやすいとされる、直径約0.3μmの粒子を95%以上捕集する性能を持つ」ことを示す。N95タイプは、ウイルス等の浮遊危険物質の吸引リスクが高い環境下における使用を想定して設計されているため、密着性が高い。同製品は、感染患者に接近して業務を行う必要がある際のマスクとされており、一般向けの製品ではないが、「Amazon.co.jp」などのインターネットショップで購入可能だ。

手前左側、「8210 N95」(2,400円/1箱20枚入り)。カップ型で、顔への当たりが柔らかい、幅の広いヘッドバンドを採用しているとのこと。手前中央、「8110S N95」(2,400円/1箱20枚)。顔の小さい人用のスモールサイズで、カップ型 。手前右、「9010 N95」(6,500円/1箱50枚入り)。保管時は2つ折の平面で、着用時には立体となって密着性を向上するようになっている

【除菌・消毒】消耗品は詰め替え用で大量ストックがお得

マスクをしているからといって、100%感染が防げるわけではない。同フェアに出展している各社は一様に「外から戻った際の手洗いや消毒等の徹底が重要」と述べており、洗浄剤等の備蓄の必要性を訴えていた。ライオンハイジーンが販売している洗浄剤や消毒液のシリーズ「キレイキレイ」には、備蓄に便利な業務用サイズの詰め替えパックが存在する。一般向けの販売はされてないが、オフィス用品通販の「ASKUL」等で購入できる。

「キレイキレイ」の「薬用ハンドソープ」(詰め替え用)は、2L(1,680円) / 4L(3,139円) / 10L(7,440円)の3サイズ。「泡ハンドソープ」(詰め替え用)は2L(2,450円)/4L(4,750円)。「泡で出る消毒液」(詰め替え用)は4L(4,800円)がある

ジェイシーエスは、インフルエンザウイルスの二次感染経路を様々な事例から検証し、シミュレーションを行って、開発した抗菌・除菌製品セット「G-CLEAN z プロテクトキット」(12,600円)を展示していた。セットの内容は抗菌・感染防止効果の高いとされるマスクに、手洗い洗浄剤、帰宅時に衣類などに付着した菌を取り除くスプレー、ドアノブなどに付着した菌を拭取るウェットペーパーとなっている。抗菌成分は、殺菌効果が高いとされている、植物のヒバから抽出した「ヒノキチオール」が配合されており、鳥インフルエンザや人インフルエンザに対する不活性化試験にて、99.999%の抗ウイルス効果が確認されている。同商品は、専用サイトから注文できる。

ジェイシーエスの「G-CLEAN z プロテクトキット」(12,600円)。自然界に存在するヒバから抽出した「ヒノキチオール」や、土から採取した「ドロマイト」を抗菌素材に使用している

【室内環境】加湿と除菌で室内の感染源を絶つ

感染を防ぐには、ウイルスが広まらない室内環境を作ることも重要。ウイルスが活動しにくい環境を作るには、適度な湿度を保つことのできる加湿器が高い効果を発揮するといわれている。同フェアでは、マスクや消毒液等以外に、加湿と除菌2つの効果を持つシステムも展示されていた。

東亜化学工業、電元オートメーション、エコーテックの3社による、微酸性電解水噴霧器は、除菌効果を持つという微酸性電解水を空気中に噴霧することで、ウイルスの感染価を抑制する効果が得られるという。微酸性電解水生成器は50,000円から、噴霧器は8,000円から販売している。家電量販店等での販売は行っていないが、専用サイトに問い合わせることで購入できるとしている。

微酸性電解水生成器(右)と専用の加湿器(左)。微酸性電解水は、微酸性電解水生成器によって、水道水から生成することができる。なお、微酸性電解水は食品に直接かけて殺菌する水として認可されている直品添加物で、安全性は高い。一般的な加湿器同様、室内に人がいる状態で使用できるとのこと

また、イシイは除菌消臭効果があるとされる除菌消臭水「ステリ・PRO」とステリ・PRO専用の加湿器を展示。ステリ・PROは、食品業界などで使われてきた消毒用水溶液である次亜塩素酸ソーダの除菌力を、同社独自技術によって高めたものだという。スプレーや加湿器を使用して空間に噴霧することで、「加湿に加えて消臭効果と除菌効果が期待できます」(同社ブース 説明員)。購入等の詳細については同社サイトで確認できる。

「ステリ・PRO」(500mlボトルは非売品で、4Lが2,625円、20Lが9,765円)と専用加湿器「ISK-500」(18,900円)。ステリ・PROは、大学や衛生協会などの専門機関により、菌やウイルスからの悪影響を99.99%以上抑制できることが実証されているという。また、口に入ったり肌に付着しても健康上の問題は無く、安全性が高いため、有人下での噴霧が可能としている

【その他】ここまでやれたらフル装備? - ウイルスをシャットアウトするアイテム

感染した人が、咳などを手で押さえたり鼻水を手でぬぐった後に、ドアノブや机などに触ると、それらにウイルスが付着して感染することがあるという。このような場合はすぐにうがいや手洗いをすることが重要だが、外出先などでは必ずしもそういった対処ができない場合が少なくない。

セスが取り扱っている「抗ウイルス手袋」は、抗ウイルス効果を持つフルテクトを採用しており、繊維に付着したウイルスの感染価を抑制するため、ウイルスを気にせずに物に触れることができるという。

フルテクトを使用した「抗ウイルス手袋」。洗濯が可能で、使い捨てる必要はないとのこと。素材は綿(フルテクト加工)100%で、長時間着用してもムレにくいという

アイトスのブースでは「フルテクトジャージ」などの抗ウイルス衣類。見た目には普通のジャージと変わらないが、繊維にはフルテクト加工が施されており、抗ウイルス効果を持っている。衣類にウイルスが付着しても、感染価をほぼ無効化するため、衣類に付着したウイルスから感染するリスクを軽減できる。同製品販売は基本的に業者向けとのことだが、一部のインターネットショップなどで取り扱っているそうだ。

「フルテクトジャージ」。素材はポリエステル45%、綿55%で、フルテクト加工が施されている。洗濯可能。ジャケット9,030円、パンツ6,930円

以上を参考に、新型インフルエンザの第2波が始まったときに焦らずに対処ができるよう、今から対策に備えてみてほしい。