2010年10月、羽田空港に4本目の新D滑走路が完成する予定だ。これに合わせ、羽田発着の国際便が本格的に就航する。今でも羽田空港からはソウル、香港、上海へのフライトが運航されているが"定期チャーター便"というなんとも曖昧な扱いだった。
新滑走路オープン後、羽田空港からの国際線の運航が可能な国は、2009年6月末現在、昼間の時間帯(6時~22時台)が韓国、香港。夜間(22時台~6時台)が韓国、香港に加え、マレーシア、シンガポール、タイ、イギリス、オランダ、ドイツ、フランス、カナダ(貨物便含む)となっており、中国や米国などとも協議が続けられている。都心からのアクセスの良さに加え、24時間供用が可能なメリットを活かした運営を目指す。
新滑走路のオープンに合わせて、新しく国際線旅客ターミナルビルも造られる。ビルの運営を行うのは、東京国際空港ターミナル株式会社(Tokyo International Air Terminal Corporation=略称TIAT「ティアット」)。このターミナルビルは、現在の"定期チャーター便"で利用されている暫定国際線旅客ターミナルビルとは、まったく違う本格的な国際線ターミナルで、地上5階建て、延床面積約15万4,000平米は現在ANAなどが利用する羽田の第2ターミナルとほぼ同じ。「羽田は第1ターミナルが"陸"、第2ターミナルが"海"をテーマ。それならと国際線ターミナルは"空"をテーマに設計」(野村直樹・東京国際空港ターミナル企画部企画担当マネジャー)。「すじ雲」をイメージした巨大な屋根が印象的だ。
モノレール駅、アクセスホール、出発ロビー、出国審査場、ゲートラウンジが同じ3階にあり、空港の駅に着いてからゲートラウンジまで段差なしで行けるなど、いわゆるユニバーサルデザインに基づいた設計。2階は入国審査場および到着ロビーなど、4階と5階は商業施設のフロアと明確に分けられるなど、フラットな動線と分かりやすいシンプルな施設に仕上げる。そのほか、世界初となるバリアフリータイプの搭乗橋を導入したり、地中熱利用やNAS電池の採用といった環境面に配慮した取り組みも行う。
商業施設は、「首都東京」の国際空港であることを意識して、「Made in JAPAN 羽田オンリーワン」をコンセプトに過去・現在・未来のイメージを演出。たとえば4階に、江戸の町並みに飲食店、能舞台などが並ぶ「江戸小路」ゾーンを、5階にはキャラクター関係のゾーンを設置。展望デッキには、その名の通り富士山を望む「富士見台」と月を望む「月見台」を設置。そのほか「免税店も充実」(野村マネジャー)。
ターミナル建設工事の進捗状況は6月下旬時点で約30%。今年8月か9月には、一般家屋でいう棟上げに当たる上棟式が予定されている。2010年の国際線旅客ターミナルビル完成まで1年強あるが、人々の関心と期待は高い。日本を代表する国際空港となるのか、注目して待ちたい。