日立アプライアンスは6日、ビルトインタイプのIHクッキングヒーター、21機種を発表した。発売は8月10日を予定している。価格などは表のとおり。
新モデルの大きな特徴は、センサーの変更による構造の見直し。同社昨年モデルのIHクッキングヒーターでは、サーミスタ(ガラスの天板を伝わってくる熱を検知する)と、サーモパイル式の光センサー(赤外線を測定し鍋底の温度を直接検知する)が使用されていた。サーミスタは1つのヒーターにつき4個使用(IHコイルの周囲に3個、中央に1個配置)、光センサーは中央に配置されていた。IHクッキングヒーターでは、コイルからの電磁誘導によって、金属の鍋自体が発熱する。それにより、コイルのある周辺部分と、コイルのない中心部分とでは、鍋の温度の上がり方も変わってくることになる。そのため、センターに配置された光センサーでは、鍋底の最高温度を厳密に測定することは難しかったとのことだ。新モデルでは、コイルを内側と外側の2つに分割。2つのコイルの間、つまり鍋の最高温度になる部分に温度センサーと光センサーを配置することで、より正確な温度測定を可能にしている。また、鍋底の状態を検知するために、もうひとつ光センサーを配置。これは、鍋が、IHコイルの上に置かれているかと、鍋底の色を検知するもので、鍋底の色や状態によって変化する赤外線の量(つまり光センサーで検出される量に違いが出てくる)を補正するためのものだ。なお、鍋が正確におかれていない場合には音声メッセージで、ユーザーに通知するようになっている。なお、コイルを分割すると、出力が低下してしまう。それを補うために、3重構造のコイルを設計。新採用することで、全モデルとも、従来と同じ、左右3kW(オールメタル対応モデルで、アルミや銅の鍋を使用した場合には2.6kW)の高出力を実現している。
温度が正確に測定できることで変わったのは「適温調理」機能の使い勝手の向上だ。これは、単純に加熱を行うというのではなく、その調理に適した温度をキープし続けるというもの。もちろん、野菜など、温度の低い食材を投入した場合でも、温度低下を検知し、立ち上がりの速いIHヒーターによって元の温度に復帰する。従来機では「炒め」「ステーキ」の2メニューが装備されていたが、新モデルでは「卵焼き」が加わり、3メニューになった。炒めメニューでは200°C、ステーキメニューでは220°C、卵焼きメニューでは170°Cが基本となり、それぞれ上下に3段階(10°Cずつ、計30°C)調整可能だ。
この適温調理を行う際に問題になるのが、鍋の種類(この場合はフライパン)。鍋の素材の厚みや底の反りなどによって、IHヒーターに加熱されるスピードは大きく変化する。とくに、薄い素材で、中央部分が盛り上がっているフライパンだと、周囲に比べて中央部分の温度が上がるのが遅くなる。つまり、中央部分の温度を測っても、全体の温度は正確には判断できないということになる。そのため、従来機では、この適温調理に使用できる鍋は、鍋底の直径が16-26cm、厚みが1.5mm、反りが1mm以内のものというように、ある意味決め打ちがされていた。新モデルでは、新たに搭載されたセンサーにより、リアルタイムに鍋底の最高温度を検知できるため、IHで使用可能な鍋の種類とほぼイコールとなっている。
また、適温調理の際の予熱時間も短縮。温度測定には光センサーとサーミスタとが併用されているが、従来機では、測定の中で、検知速度の遅いサーミスタの占める比率が高かった。そのため、最適調理の予熱は、安全のため3分程度の時間をかけて行われていた。それに対して、高速な光センサーで正確な測定が可能な新モデルでは、1分程度で予熱が終了する(会場での実演では30秒程度で終了した)。
センサーの高精度化以外の変更点は、オーブンに過熱水蒸気発生機構を搭載した点と、中央IHヒーターの高出力化。オーブンの手前部分に容量30mlの水タンクが配置されており、ここに水を入れるだけで手軽に過熱水蒸気調理が可能になる。会場での実演でも、かなりの量の油分が落とされているのが確認できた。また、通常のオーブンで焼いた鶏肉と、過熱水蒸気付きのオーブンで調理した鶏肉をそれぞれ食べ比べてみたところ、過熱水蒸気付きのオーブンで調理したもののほうが、明らかに表面のパリッとした感じが強く感じられた。また、中央IHヒーターは2.0kWにパワーアップされている(HT-D8TWFS/TFSは従来と同じ1.6kW)。
型式 | タイプ | オールメタル対応 | 幅 | レンジフード連動 | 価格 |
---|---|---|---|---|---|
HT-D20TWFS | 3口IH |
ダブルオールメタル 対応 |
75cm | ○ | 41万8950円 |
HT-D20TFS | 60cm | ○ | 39万7950円 | ||
HT-D10TWFS |
オールメタル 対応 |
75cm | ○ | 37万1750円 | |
HT-D10TFS | 60cm | ○ | 35万0700円 | ||
HT-D9TWFS | 鉄・ステンレス対応 | 75cm | ○ | 34万0200円 | |
HT-D9TFS | 60cm | ○ | 31万9200円 | ||
HT-D8TWFS | 75cm | ○ | 31万9200円 | ||
HT-D8TFS | 60cm | ○ | 29万8200円 | ||
HT-D8WFS |
2口IH+ ラジエントヒーター |
75cm | ○ | 29万8200円 | |
HT-D8FS | 60cm | ○ | 27万7200円 | ||
HT-D8 | - | 25万7250円 |