EX-H10では、最近同社が力を注いでいるダイナミックフォト機能がいっそう強化された。ダイナミックフォトとは、今年1月発売のEX-Z400で初搭載された、動く被写体を切り抜き、別の写真に合成する機能だ。
新しくなったダイナミックフォトの基本手順を確認しよう。操作は、動くキャラクター素材の作成と、背景となる静止画との合成の2段階に分かれる。キャラクターの作成は、まずベストショットモードの「ダイナミックフォト」を選択し、動くオモチャや人物、動物などをシンプルな背景で撮影すること。そして、その直後に、キャラクターがない背景のみの状態でもう一度撮影する。すると、自動的にキャラクターのみが切り抜かれたデータとして保存される。
続いて、再生画面から「ダイナミックフォト」を選び、先ほど作成したキャラクター素材、および背景として使用する撮影済みの静止画を選択する。すると、キャラクターと静止画を重ねた状態の画面が表示されるので、キャラクターの位置とサイズを決めてSETボタンを押す。これで、とりあえずは完成だ。
ただし、このままでは、画像が合成された複数のJPEGファイルの状態であり、カメラ本体で再生はできるが、PCに転送した場合は動かない。そこで、カメラの再生メニューから「ムービーへ変換」を選択し、一連のJPEGファイルをAVI形式の動画ファイルへと変換する。こうすることで、カメラでもPCでも再生可能な動画作品として仕上げられる。WEBにアップして楽しむことも可能だ。
従来機のダイナミックフォトとの違いは、主に以下の4点となる。(1)切り抜いたキャラクターの拡大と縮小に対応すること。(2)ハートや恐竜などのキャラクター素材をカメラに内蔵すること。(3)カメラ内で動画への変換が可能になったこと。(4)付属ソフト経由でカメラに転送した静止画も背景に使用できること。
従来は、キャラクター作成を面倒に感じていた私にとっては、あらかじめ内蔵メモリー内に用意された8つの素材を利用可能になったことがありがたい(専用サイトから約150種類の画像素材をダウンロードすることもできる)。また、付属ソフト「Photo Transport」を使って、EX-H10以外のカメラで撮影した静止画や、PC上でレタッチした静止画も背景として使用可能になった点も便利だ。
以下は、内蔵のキャラクター素材と自分で撮った静止画を合成し、カメラ内で動画に変換したダイナミックフォトの作例だ。アイデア次第で結構楽しめるはず。写真撮影の本質とはかけ離れた機能だが、難しく考えずに遊びたい。少々大げさに言えば、生真面目なカメラメーカーなら絶対に採用しないような、柔軟な発想のカシオならではの機能の極め付けといえる。……続きを読む