3月20日の神奈川公演を皮切りに、全29公演を行ったAqua Timezの最新ツアー『still connected tour '09』から、5月28日の東京公演(NHKホール)の模様を、6月30日(19:00~20:30)にWOWOWで放送。メンバーのコメントを交えながら誌上レポートする。
40万枚を売り上げた記念すべきメジャー1stシングル『決意の朝に』を始め、リリースしたシングルの多くがCMやドラマ、アニメのテーマソングに起用されて一躍人気バンドとなったAqua Timez(アクア タイムズ)。ドラマ『ごくせん 第3シリーズ』(日本テレビ系)の主題歌にもなった昨年発表の『虹』が6週連続でランキングトップ10入りを果たし、配信トータル200万ダウンロードを記録したのは記憶に新しいところだ。ポピュラリティのある音楽性で、ティーンから若いファミリー世代まで、幅広いファン層から支持を集めている。シングル曲からもわかるように、メロディを大切にしながら言葉をキーワードにしてメッセージ色も強い。そのあたりについて、ボーカルの太志は「最初の頃はミクスチャーバンドをやろうと思って、2001年頃からバンドがスタートしました。実際にメッセージ性というか、他の人と違うようなことをやろうというつもりはなかったんですよ。自然とそうなっていったんだと思います。ただ、コンセプトじゃないですけど、当時の僕らの周りには、ゴリゴリのミクスチャーバンドが多く、僕らは彼らよりも少しメロディを大事にしたいっていうのは、少しだけでしたがありました。それと、個人的な経験だったり感情というものを言葉にしてメッセージにしていこうというのは、あったんだと思います」とバンドの位置づけについて語ってくれた。
美しいメロディと太志のハーモニーに酔いしれる
そんな彼らが大事にしているものは、ファンであり、ファンと同じ場を共有できるライブだ。バックステージに引かれた垂れ幕のシルエットに映るメンバーが一人ずつステージに上がり、5人揃ったところで公演がスタート。大ヒット曲『虹』を1曲目から演奏し、続く『上昇気流』の途中で大志が「東京ファイルだ! お前らのでかい声を聞かせてくれ!」と叫ぶと、熱くなった観客も太志に応じた。そして最初のMC。「東京楽しんでますか? 5年前、あの日俺たちの目の前には誰もいませんでした。でも、あの日の未来にはあなたちがいた。俺たちの音楽に出会ってくれて、本当にありがとう! 」と語って『別れの詩-still connected-』を演奏。観客の誰もが、Aqua Timezの美しいメロディと太志のハーモニーに酔いしれる。
その後も美しいメロディに合わせてAqua Timezの魅力が炸裂した。9曲目の『千の夜をこえて』終了後、フロントラインの3人が用意された椅子に座り、MCではなくトークショーを展開。ファイナルということで、これまでのツアーの思い出話を5人のメンバーが語り、それを聞く観客との光景は、何とも微笑ましい。その後、今回のツアーで初めて行ったアコースティックサウンドを披露。『奏であい』、『静かな恋の物語』、『決意の朝に』をしっとりと聴かせ、インストルメンタル『白昼夢』を挟み、ハードで荒々しいナンバーを繰り出していく。「シングル曲だけではない僕らの荒々しいハードな部分もありますよ」と公演前にドラムスのTASSHIが話していたが、このあたりにAqua Timezのバンドとしての懐の広さがあるのかもしれない。特に『Velonica』と『massigura』は、彼らが結成前からプレーしようとしていたミクスチャーロックを展開し、シングル曲しか知らないファンには是非ともチェックしてほしい場面だ。ハード3連発の後、ラストナンバー『STAY GOLD』を熱演して本編の公演が終了した。
観客からのアンコールに応え、再びステージに上がった5人のメンバー。「どうも今日はありがとう! 今日は千秋楽なので、皆さん記念写真を撮りましょう」と太志の掛け声でファンと一緒に記念写真が撮影された。そしてアンコールナンバー『自転車』と『うたい去りし花』を熱演し、コンサートの幕は下ろされた。
「前回と違うアコースティックなどもあり、同じ曲でも皆が予想していないようなアレンジをしています。最初から最後までの流れの中で、映画を見るように楽しんでもらえたらと思っています」と同ライブの見どころを語ってくれた太志。メロディの美しさとメッセージだけを大事にしていると思いきや、ミクスチャーロック的なハードナンバーもあって、より広くファンを楽しませた。そんな彼らのバンドとしての成長した証を、是非とも映像でチェックしてほしい。
『Aqua Timez still connected tour'09』は、6月30日(19:00~20:30)にWOWOWで放送される。